東北地方の宮城県北西部にある鳴子温泉は日本でも有名な温泉地の一つで、その歴史は837年に温泉が湧出し始めてから、今日まで千年以上を誇る。また温泉以外にも、この地はその雄大で壮観な自然の景色で有名だ。特に鳴子峡の山々に広がる秋の紅葉はその美しさで名高い。「若者が掘り起こす“東北”の魅力を発信する~東北 絆プロジェクト~」の宮城県視察旅行のメンバーである中国人民大学の易秋詩さんと外交学院の陳雨萱さんは18日、鳴子峡を訪れ、遊歩道に広がる青々とした初夏の景色を楽しみながら、日本で俳聖と呼ばれた松尾芭蕉が記した「おくのほそ道」をたどった。人民網が伝えた。
鳴子峡は鳴子温泉郷を流れる江合川の支流、大谷川の長年の浸食で形成され、深さは100メートルに達する。現在観光客に開放されている川沿いをめぐる大深沢遊歩道は全長約2.2キロメートル。紅葉の時期ほどではないものの、眼下に広がる初夏の景色は青々とした緑に赤い花が彩りを添え、足下に渓流が見え隠れして独特の趣を醸し出している。ゴールデンウィーク明けということもあり、鳴子峡を訪れる観光客の姿はまばらで、視察メンバーの二人は周りに広がる絶景を大いに楽しみ、美しい景色を次々シャッターでとらえ記録していた。
その後、現地のタクシー運転手の案内のもと、視察メンバーは出羽街道にある尿前の関跡へ向かった。運転手によれば、歴史上この地には二つの国の境として関所が設けられていたという。元禄2年(1689年)松尾芭蕉と弟子の河合曾良は江戸を出発し、最終目的地の大垣(現在の岐阜県)に向かう途中でこの地を通過した。関所を通る際、彼らは役人の厳しい取り調べを受け、少なからず難儀したという。その当時の様子は、芭蕉が記録し、元禄15年(1702年)に出版した名著「おくのほそ道」に記録されている。尿前の関跡は現在も400年前の旧街道の趣そのままで、傍には松尾芭蕉の像が建てられていた。
鳴子峡視察の感想を聞かれた易秋詩さんは「現地の住民の温かさと自分たちの故郷に対する誇りに感動した」と語り、メンバー二人ともこのような美しい景色と歴史豊かな土地が中国人観光客にほとんど知られていないことは本当に残念だとし、今回の活動を通じて、より多くの人々にこの地のすばらしい景色を知ってもらいたいと語った。
今回の視察旅行は5月16日から20日まで日本の東北6県で展開され、北京日本人留学生社団(BJSA)と日本の大手旅行社・JTBが共催する「若者が掘り起こす“東北”の魅力を発信する~東北 絆プロジェクト~」だ。同プロジェクトには北京大学、清華大学、中国人民大学等大学から12名の中国と日本の大学生が参加し、6組のペアがそれぞれ東北6県を訪問し、東北の魅力を発掘していく。(編集TG)
「人民網日本語版」2016年5月19日