黄暉氏
中国科学院南海海洋研究所珊瑚生物学・珊瑚礁生態学科チーム長の黄暉氏は、サンゴの研究にすでに約20年間にわたり従事している。彼女はチームを率い、南中国海で広範囲のサンゴ育成試験エリア・模範エリアを立ち上げている。新華網が伝えた。
サンゴは海底熱帯雨林、もしくは海洋生命のエンジンと呼ばれている。サンゴ礁の被覆面積は海底の0.2%未満だが、3割弱の海洋生物に生活環境を与えている。これによりサンゴ礁は世界で最も多様化された生態系の一つになっている。
黄氏は2002年に南中国海で初めて潜水した時のことを覚えている。サンゴが一面にぎっしり広がり、サンゴ礁を形成し、そこに大量の魚やエビ、ナマコ、ウニが生息する姿を目にし、「心が揺さぶられる光景で、感動した」という。
海底でサンゴを植える中国科学院南海海洋研究所の科学者
彼女のチームは中国のすべてのサンゴ礁を何度も調査し、多くの新しい種類を修正・記録した。彼らの統計によると、中国には300種近くのサンゴがある。ところが黄氏は、「近年多くの場所では白化し死亡したサンゴの残骸しか目に出来ず、寂しく思っている」と話した。
そのため、黄氏は2009年よりチームを率い、海底の小範囲でサンゴの繁殖と育成を試みている。失敗を重ねてようやく、海の異なる環境条件のもと、各品種を栽培する方法を模索した。
サンゴは無性生殖と有性生殖が可能だ。研究を展開するため、サンゴの排卵季になると、研究者は海底で数日間張り込み、サンゴの受精卵を入手する。彼らはすでに十数種のサンゴの有性生殖、人工育成を行っている。人の制御により、サンゴの受精卵を育成し、サンゴの子供にするサンゴ増殖技術を会得した。
海底でサンゴを植える中国科学院南海海洋研究所の科学者
その一方で、科学者はサンゴの無性生殖での人工育成を行っている。サンゴを指の大きさに切り、育成後に目標海域の人工礁に付着させる。
彼らは海底で足場を組み、これにロープを吊るし、サンゴを縛り付けることで、サンゴの木を作り上げる。または網を張り浮床にし、そこにサンゴを植える。黄氏は、「サンゴの子供は小さすぎるため、海底に直接植えれば沈積物、水の流れといった影響を受ける。サンゴが大きくなってから、再び海底に植える」とした。
黄氏のチームはすでに初歩的な効果を目にしている。南中国海で、約10万平方メートルのサンゴの栽培に成功した。昨年末現在、サンゴの活着率は約75%に達した。
しかし、サンゴ礁は成長は緩慢で、最も早いコイボミドリイシでも1年で約10センチしか伸びない。一部の種は1年で1センチ未満。広い面積の海底森林を作ろうとすれば、数十年、さらには百年以上の時間が必要となる。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年10月24日
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