中国科学院武漢分院の袁志明・院長は23日の取材に対して、「脅威度の最も高いレベル4(P4)の病原体を研究するP4実験室での研究が間もなくスタートする」と明らかにした。P4の病原体で最も有名なものには、エボラウイルス、ラッサウイルス、マールブルグウイルスなどがある。科技日報が報じた。
袁院長によると、「P4の病原体は毒性が強く、ヒトあるいは動物に生死に関わるほどの重篤な病気を引き起こすものの、有効な治療法・予防法は確立されていないため、その研究が急務。中国初のP4実験室は2015年に完成した後、各種指標が基準に達するよう整備され、既に中国合格評定国家認可委員会(CNAS)の認可を受け、衛生・計画出産委員会(実験)活動資格の審査も通り、今年末にも運用が始まる」という。
ナノウイルスは、ちょっとした不注意で流出するため、それを「絶対的に隔離」するためには「密閉」だけでは不十分だ。
袁院長によると、「実験室内の空気が外へ出て拡散しないように、実験室全体は陰圧の状態でなけらばならない。そのため、中国のP4実験室には、スチールプレートが使用され、レーザー溶接で密封性と高圧性を確保している。実験室内は流動的で、単一方向の陰圧気流があり、異なる実験室の間も陰圧状態が保たれている」。
実験室の中心エリアには、10枚の扉があり、内側の7枚の扉はインターロック搭載。安全性を確保するためにもっとも厳しいレベルの安全対策が講じられており、P4実験室は地上の「宇宙ステーション」のようになっている。その違いは、P4実験室は、「死神」のようなウイルスの流出を阻止しているのに対して、宇宙ステーションは宇宙放射線などの侵入を阻止している点だ。袁院長は、「P4実験室は、最も安全な環境で科学研究ができる実験室。人以外にも、実験室から出て来る空気や液体、固体廃棄物なども、ウイルス流出を防ぐために処理が実施される」と説明している。
ウイルス拡散以外に、研究者らを保護することも非常に重要なポイントだ。その点について、袁院長は、「実験の時に着用する陽圧防護服は、宇宙服と同じで、呼吸制御装置が付いてる。研究者は陽圧防護服を着ていることで、外部と物理的に隔離され、ウイルスと人体の接触を避けることができる。これは、P4実験室のスタッフにとっては、厳しいレベルの安全対策となっている」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年9月26日
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