中国と欧州はユーラシア大陸の東西両端に位置し、共に世界において重要な重みを持っている。中国の対欧州外交の着眼点の1つは、中国EU関係のグローバル性と戦略性を高めることだ。李克強総理は8日ブリュッセルに到着した際「現在の情勢の下、われわれはEU側と国際問題における調整や協力を強化し、多国間主義と自由貿易を共同で守り、中国EU関係のグローバル性と戦略性を高め、世界の平和・安定・繁栄の促進に貢献することを望んでいる」と述べた。(文:王義桅・中国人民大学EU「ジャン・モネ」講座教授、重陽金融研究院シニアフェロー。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
EUの価値にはグローバル性と戦略性がある。世界の政治情勢の中で、EUはいくつもの使命を担っている。第1に、世界の多様性の維持。EUは創設時から多極化と多国間主義の支持者であり、中国にとっては協力と交渉の自然なパートナーだ。第2に、世界の不確定性の試練への対処。EUは現在の世界で最も統合の進んだ国際組織であり、1つ1つの条約を積み重ねることで成り立っており、確定性と規範性をもたらすパワーであり、同様に世界に確定性をもたらすパワーである中国の重要な協力者だ。第3に、世界の発展を推進する重要なパワー。中国とEUは共に努力して、世界の歴史の逆行を阻止するために鍵となる力を捧げることができる。
EUの影響力はEU自身を超えている。欧州の範囲で見ると、EUは欧州の繁栄と安定を保障する存在であり、「欧州アイデンティティー」を推進する重要な媒体だ。グローバルな範囲で見ると、EUはしばしば「28×3」の効果を発揮している。つまり国際社会に訴える力は加盟国数の3倍だ。EUのソフト・パワーは特に欧州及びその周辺地域で現われている。
中国側はEUとの関係を非常に重視している。中国とEUは国際社会における2つの大きなパワーであり市場だ。長年にわたり、中国にとってEUは最大の貿易パートナーであり、EUからの技術移転は最大であり、EUからの投資も重要であり続けているし、EUにとって中国は第2の貿易パートナーだ。EUの国際的影響力と中国に関する世論における独特の地位を考えると、中国にとってEUはソフト・パワーと国際的イメージを高めるうえで重要な助力ともなる。
中国EU関係には安定性、戦略性、互恵性がある。昨年EUはユーラシア・コネクティビティ戦略政策文書を公表し、中国との協力強化、「一帯一路」との連携、ユーラシア地域の陸海連結の推進を強調した。今回の中国EU首脳会議期間、双方は中国EU投資協定交渉(BIT)加速のタイムテーブルおよびロードマップについて積極的に立場を調整し、中国EU地理的表示協定交渉の顕著な進展を共に後押しし、第4回中国EUイノベーション協力対話を開催した。こうした努力は、中国EU協力の新たな足がかりとハイライトを培ううえでプラスだ。中国は欧州を世界の重要な一極と見なし、一貫して欧州統合プロセスを断固として支持している。また、団結、繁栄し、統合プロセスを進め続ける欧州を望んでいる。
中国とEUは共通利益が溝を遥かに上回る。中国とEUは互恵・ウィンウィンの経済貿易協力パートナーであり、世界の平和と安定を守る同行者でもある。国際情勢の不安定化要因と不確定要因が増え、保護主義、一国主義、反グローバル化思想が台頭する現在、中国とEUはグローバルな視野、戦略的視点、理性的思考で、多国間主義と自由貿易体制を共同で守り、開放型世界経済を共同構築し、人類社会の発展が直面する問題と試練に共同で対処するべきだ。
要するに、中国とEUは共同で試練に対処し、互恵協力を拡大し、不確定性が日増しに際立つ世界に安定性をもたらすべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年4月10日