早朝の北京では、サラリーマンたちが一刻一秒を争うように地下鉄に乗りこみ、朝食を配達するデリバリー配達員が渋滞中の車の間をバイクで走り抜け、年配の人々は新鮮な野菜を買おうと既にスーパーの前に列を作っている。そして、それと時を同じくして、とある集団が公園での朝練をすでに開始していた。中国新聞網が報じた。
この集団においては、60ちょっと過ぎなら十分「若者」と言ってよく、その最高齢はなんと90歳以上。一見すると平凡な容姿で口数も少ない彼らだが、その軽やかな足取りで向かう先はいずれも北京市の観光名所である天壇公園。ここは彼らにとってその「技」を披露する場であり、互いがどこから来たのか、そして何者なのかを尋ねたりはしない。ただ、いずれも並々ならぬ腕前の持ち主であることだけは確かだ。
こうした細身ながら、一旦服を脱げばしっかり筋肉がついた年配男性たちが黙々と体を鍛え上げるその姿と、そのプロ並みの「大技」がネットで大きな話題となり、その姿を一目見ようと、毎日のように「ファン」たちも天壇公園にやって来る。これら年配の「武術の達人」たちは人々から親しみを込めて「天壇じいさん」とも呼ばれている。
ある外国人の男性が、天壇じいさんたちが見守る中、負けじと一生懸命、腕立て伏せを披露していた。そう、彼らの「縄張り」においての共通語は「言葉」ではなく「体力」だからだ。
天壇公園にやって来るツアー団体のガイドたちも、申し合わせたかのようにこの「天壇じいさん」の縄張りへとツアー客たちを案内する。すぐ近くにある最大の見どころ「祈年殿」はすっかり「冷遇」されてしまう一方で、この老いの輝きを放ち続ける「天壇じいさん」たちが歓声を浴びながら披露する大技が、「北京に行ったら絶対に見ておきたいもの」になっている。そして、その姿に感化されたツアー客たちも思わず自分もやってみようと試しだす。
白いひげを蓄えたこの男性はテレビで紹介されたこともあり、天壇公園ではちょっとした「有名人」。そんな達人と並んで鉄棒にぶら下がることができれば、思わず笑みを浮かべてしまうというものだ。
どれだけ高く足を上げられるかなどと質問する必要などない。なぜなら、数字が何かを示すわけではないのだから。重要なのは自由さを感じられること。
平行棒は天壇じいさんたちに人気の器械運動の一つ。そのためしばしば列ができるほど。一連の鮮やかな動きを披露した上で、笑顔を浮かべながらしっかりと着地してこそ完璧な演技と言えるだろう。
天壇に集まる彼らの辞書に「不可能」の文字はなさそうだ。
(編集KN)
「人民網日本語版」2019年10月10 日
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