世界経済フォーラム(WEF)は25~29日にオンライン会合「ダボス・アジェンダ」を開催する。世界70数か国・地域の政界、ビジネス界、社会組織のリーダー1500人余りが、「信頼を再構築する重要な年」というテーマをめぐり、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの下で世界が直面する経済・環境・社会・技術面の試練への対処策を議論し、新型コロナ対策における協力と経済回復の推進を図る。新華社が伝えた。
■信頼の再構築が重要
世界経済フォーラム(WEF)の創設者であるシュワブ会長は、「2021年は信頼を再構築する重要な年だ」と指摘。「世界はまさに重要な岐路に立っている。新型コロナ感染症のパンデミックは世界に深刻な打撃を与え、失業・貧困・気候変動などの問題への対策における国際社会の努力を損なった。各国のリーダーは一致協力して、積極的で果断かつ包摂的で実効性ある行動を取らなければならない」と強調した。
今回のパンデミックは、公衆衛生上の危機を引き起こして、すでに200万人以上の命を奪っただけでなく、経済・社会・科学技術など多くの分野にも新たな試練をもたらした。世界銀行は、パンデミックは2020年に世界経済の後退をもたらしており、今後も長期的な打撃を与え、世界経済を「失望の10年」へと向かわせる恐れがあると警告した。国際労働機関(ILO)は、パンデミックは世界の労働力市場に危機をもたらし、労働者の収入を大幅に下げていると指摘した。2020年第2四半期には世界中で労働時間が激減し、これは4億9500万人の雇用喪失に相当するという。国連開発計画(UNDP)も、感染拡大が世界の貧困削減事業に打撃を与え、2020年に世界の貧困人口が初めて増加に転じたとし、1億人近くが再び極度の貧困に陥った可能性を指摘した。
WEFが先日発表した「グローバルリスク報告書2021」は、パンデミックによって貧富の格差と社会の二極化が激化し、健康・経済・情報面の格差が拡大したと指摘し、今後5~10年間で地政学的緊張が激化する可能性も警告した。
新型コロナのパンデミックは真にグローバルな危機であり、世界が共同で対処する必要がある。シュワブ氏は、「危機に対処するには信頼が必要であり、信頼は未来に向かい、新たな世界を構築するうえでの基礎だ」と指摘。「ポストコロナ時代の世界秩序は各者が共同参加して形作らなければならない。政治家が参加するだけでなく、実業界の支持も必要だ。とりわけ若い世代の声に耳を傾ける必要がある」と強調した。
■システミックな解決策が必要
シュワブ氏は新華社の単独取材に対し、「新型コロナの危機は単なる周期的な危機ではなく、システミックな危機でもあるため、システミックな解決策が必要だ。『ダボス・アジェンダ』はポストコロナ時代における新たな経済・社会システム構築のために各者の意見を示す」と語った。
主催側によると、5日間の会合には、国家元首、政府首脳、国際機関のトップを含む1500人余りが「強靭で持続可能かつ結束力ある経済システムの構築」「責任ある産業変革・成長の推進」「グローバル・コモンズ管理の改善」「第4次産業革命の技術的成果の利用」「国際・地域協力の推進」をめぐり議論を繰り広げる。
WEFのサーディア・ザヒディ氏は新華社の単独取材に対し、「パンデミック後の経済回復は単純に従来の成長モデルに回帰するわけにはいかず、包摂性と持続可能性を新たな成長モデルの中核とするべきだ」と強調した。
シュワブ氏も「パンデミック後の経済システムは不平等な状況を増やさぬようにし、結束力を強化しなければならない。また、経済回復の過程においては、中小企業の利益を保護することが特に必要だ」とした。
■中国がもたらした希望
シュワブ氏は以前、「新型コロナ対策と経済回復推進の面において、中国は非常に重要な役割を発揮して、世界に希望をもたらした」と指摘した。
新型コロナウイルスワクチンの公平な分配に国際社会が幅広く注目する中、中国製ワクチンは国際公共財という性質を日増しに明らかにし、途上国におけるワクチンのアクセシビリティとアフォーダビリティの確保に貢献している。中国は2020年に世界の主要エコノミーの中で唯一プラス成長を実現し、世界経済回復の原動力となった。
新型コロナ対策における協力と経済回復の推進を図る過程において、ポストコロナ時代の経済・社会システム構築の面で、中国の関与は不可欠だ。今回の「ダボス・アジェンダ」で中国が優れた方策を示すことを各方面が期待している。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年1月25日