【国際観察】「ワクチン民族主義」は世界の感染症対策協力を損なう

 2021年03月24日10:45

世界各国と心を一つに手を携え、新型コロナウイルス感染症対策を行う過程で、中国の国家指導者は「ウイルスに国境はなく、全人類共通の敵だ」と何度も強調し、中国はワクチンを研究開発し使用が開始された後、世界の公共財として、ワクチンの発展途上国におけるアクセシビリティとアフォーダビリティを実現するために中国として貢献することを約束した。(文/憶黎。人民網掲載)

しかし、中国が複数の発展途上国にワクチンを援助し、公平な分配を推進している時、一部の西側諸国の政治屋とメディアは絶えず故意に煽り立て、中国が「ワクチン外交」を展開していると中傷し、中国がワクチンの輸出と援助を利用して地政学的影響を拡大しているのではないかという疑念を示した。実際には、現在世界でワクチンの公平な分配をめぐって生じている問題の根源は、一部の先進国が人為的に「ワクチン格差」を作り、「ワククチン民族主義」をとっていることにある。

一部の高所得国は医薬メーカーと覚書を結び、他の国にワクチンを提供する前にまず自国民にワクチンを提供することを保証している。しかし、こうした高所得国が購入したワクチンの数は自国の人口を上回っており、ワクチンの買い占めや過剰を招いている一方で、低所得国は「ワクチンが欲しくても手に入らない」苦しい状況に陥っている。

現在、英米などが国際市場で過剰な量のワクチンを購入している。2月19日、貧困と予防可能な疾病の問題を解決するための国際NPOであるONE Campaignが発表したレポートによると、米国やEU諸国、英国、オーストラリア、カナダ、日本は当時すでに30億回分以上の新型コロナウイルスワクチンを購入しており、これらの国の全ての人が2回ワクチン接種を受けるために必要な20億6000万回分より10億回分多かった。そのうち、カナダのワクチン購入量はその人口の5倍に及んでいた。

3月12日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、「144のエコノミーで3億3500万回分の新型コロナウイルスワクチンが接種されたが、うち76%が10ヶ国で接種されていた」と述べた。このようにワクチンの公平性は、現在全世界が直面している道徳的試練となっている。

それと同時に、高所得国間でも内輪もめが起きている。アストラゼネカとファイザーという二大医薬企業が、英米両国へのワクチン供給を保証するため、EU諸国へのワクチン引き渡しを遅らせたことで、EU全体のワクチン接種計画が影響を受けた。現在、EU諸国のワクチン接種率は英米などよりかなり低いものとなっている。WHOの3月3日時点のデータによると、EUで1回目のワクチン接種を受けた人は、その人口4億4700万人のうち5.5%しかいない。

国際的に懸念される公共衛生上の緊急事態において、「ワクチン民族主義」は人に損失を与えても自分の利にはならない短絡的な行動であり、西側の一部政治屋のゼロサム思考と狭隘な視野を露見させた。

全ての人が安全になるまで、本当の意味で安全な人は誰もいない。先進国が出入国管理でどれほど厳格な措置を講じたとしても、発展途上国の感染状況が抑制されていなければ、結局のところその影響が及んでしまうだろう。国際商業会議所(ICC)のある調査によると、先進国が自国民への全面的な接種だけを行い、発展途上国を無視した場合、こうした先進国は4兆5000億ドル(1ドルは約108.5円)もの経済損失を被ることになるという。

中国が輸出または援助するワクチンにはいかなる政治的条件も付加されていない。2021年全国両会期間中、王毅国務委員兼外交部長(外相)は外相記者会見が始まってすぐに、「感染が拡大している国が1国でもある限り、国際社会が団結して行う感染症対策の努力を止めるべきではない。ウイルスに感染している人が1人でもいる限り、我々にはすぐに援助の手を差し伸べる責任がある」と述べ、中国が国際社会と団結して感染症対策に当たる決意と態度を示した。

新型コロナウイルス感染拡大という世界的かつ普遍的な脅威を前にして、自分の利益のみを考えて他人の迷惑を顧みない個人本位主義や狭隘な民族主義的行為は、人を傷つけると同時に自分をも傷つけることになるだろう。世界各国が「ワクチン民族主義」を止め、人類運命共同体の意識で相互に支援し合うことでのみ、この困難を乗り切り、新たな時代を迎えることが可能となるだろう。(編集AK)

「人民網日本語版」2021年3月24日

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