工場の中に動物園 低炭素化・スマート化に照準を定めた上海の鉄鋼メーカー
上海市宝山区のミニ動物園に足を運ぶと、芝生の上ではインドクジャクが羽を広げ、日光を浴びてキラキラと輝かせ、人々が足を止め、その様子を眺めていた。このミニ動物園は、鉄鋼メーカー・宝山鋼鉄股份有限公司の製鉄所内にある「工場内の動物園」だ。
22日午後、宝山鋼鉄の宝山拠点を取材すると、クジャク76羽やニホンジカ64頭、ハト約100羽の「見張り役」からなる「哨兵動物園」があった。
同動物園の管理責任者を務める上級エンジニアの李軍功さんは、「検知器では検知できない汚染物質もある。でもこれらの動物たちは環境に非常に敏感なため、見張りをする『哨兵』のように、環境モニタリングの第一線を守ってくれている」と説明する。
李さんによると、環境は動物の繁殖や病気発生率、毛の色などに影響を与える。例えば、環境汚染が深刻な場合、ニホンジカはオスしか生まず、メスは生まれなくなる。クジャクは、羽が少なくなり、色も悪くなって、メスを引き付けることができず、繁殖に影響を及ぼす。李さんは、「当動物園の動物の寿命は、自然界よりも長く、数を制御しなければならないほど繁殖力もとても強い」と誇らしげに語る。
宝山鋼鉄は最近、カーボンニュートラルに向けた計画を発表し、2025年をめどに、二酸化炭素排出を30%減らすことができる技術力を備え、2035年をめどに二酸化炭素の排出量を30%減らし、2050年にカーボンニュートラルを実現するという目標を掲げた。同社の運用センターの劉仕君副総経理によると、過去6年、同社は120万トンの標準石炭の使用を削減する技術を実現した。これは1年当たり300万トンの二酸化炭素の排出削減に相当するという。
低炭素化とスマート化は、伝統的な工業のモデル転換・高度化の過程において、相互に依存し合う不可欠な目標ということができるだろう。宝鋼鋼鉄は2022年末の時点で、同社の主な商品41項目、ユニット/工程373本をカバーする中国初のスマート炭素データプラットフォームを構築した。
宝鋼鋼鉄は最近、通信機器大手・華為(ファーウェイ)と、全分野で提携することで合意し、計算能力センターを立ち上げた。宝鋼鋼鉄の党委員会副書記を務める呉小弟総経理は、「当社は『基盤モデル』の実戦段階に突入した。AI生産ライン制御やAI視覚認識、AIスマート意思決定など、AIがメインで操作する100のシーンでの応用を実現するのが目標だ」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年5月27日
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