中国の北極科学観測、気候変動への対応に独特の貢献
北極地域は世界で気候変動が最も激しい地域だと広く認識されている。うちスヴァールバル諸島は北極温暖化の最前線として、その温度変化は世界の気候システムに対して重要な意義を持つ。中国初の北極科学観測所である黄河基地があるスヴァールバル諸島のニーオーレスン地区で、ノルウェー極地研究所のキム・ホルメン特別顧問は取材に対し、「肉眼で観察できる気候変動の影響は至る所にある。各国の科学研究者はここの気候を研究することで気候変動の状況を理解し、将来の傾向を予測できる。中国の科学研究者の熱心な活動は、北極の気候変動への対応の研究を促進した」と述べた。新華社が伝えた。
中国は数十年にわたり、極地、特に北極地域の科学観測で雪氷圏への理解を深めただけでなく、世界の気候変動の研究に重要なデータサポートを提供してきた。さらに国際協力や知識の共有などにより、気候変動に対応するための世界的な取り組みを推進した。
6月21日にニーオーレスンで撮影された中国北極黄河基地。(撮影・趙丁喆)
吹雪の中で、雪をかき分けながらニーオーレスン氷河に登り、雪のサンプルを採取し、さらに船に乗り科学観測所に戻り、同位体イオン分析器などによりサンプルの硫酸イオンや硝酸イオンなどのイオンの輸送と堆積の過程を分析し、モデルを利用し人類活動の自然環境への影響動向を分析する。これは中国の科学者である胡正毅氏の北極氷河科学観測の日常的な作業の一つだ。
6月22日、ノルウェーのニーオーレスンでサンプル採取を行う科学観測隊員の胡正毅氏(右)、趙紅穎氏(中)、武小涵氏。(撮影・趙丁喆)
黄河基地が2004年に建設されてから、中国の科学研究者は北極の環境変化を持続的に観測し、氷河、陸地生態、海洋生態、空間物理学などのデータを収集している。例えば氷河の研究では、氷河表面の物質収支データ、氷河運動データ、消融エリア及び蓄積エリアの深さ10mの氷河の温度、氷雪サンプルの分析データなどを持続的にモニタリングしている。生態(海洋・陸地)研究では、サンプルを定期的に採取し、生態の種類、分布、経年変化または季節変化を分析している。空間物理学の面では、高空物理パラメーターを持続的に収集し、空間環境の変化を分析している。
中国の北極科学観測が提供する関連データは、科学界が北極地域の世界の気候システムにおける重要な役割を理解するのに役立つだけでなく、世界の気候モデルに重要パラメーターを提供している。科学者がより正確に気候変動の傾向と影響を予測し、効果的な措置を講じ気候変動に対応するようサポートしている。
例えば極地科学観測船「雪竜2」号は極地科学観測任務をすでに複数回にわたり実施し、質の高い海洋・気候データを提供し、世界の気候モデルの改善をサポートしている。氷河物質バランスの研究は北極の氷河の気候変動への反応を明らかにし、将来の海面上昇を予測する重要な根拠を提供している。衛星及び現場観測で行われる海氷モニタリングは、世界の海洋還流及び気候システムの研究にサポートを提供している。北極の海洋生態系の研究では、中国の科学研究者は海洋生物の分布変化や極地環境変化の生態系への影響、海氷の減少及び氷河溶解の増加による海洋生態系への影響を研究することで、北極生態系の健康状態に関する重要なデータを提供している。科学界の世界の生物多様性の変化に対する理解を増進し、北極生態保護措置の策定推進に役立つ。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年7月5日
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