【ぶらり北京】秋の胡同めぐり編

人民網日本語版 2024年11月01日15:07

北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩いて紹介する、その名も「ぶらり北京」。今回は、前門に近い三里河公園や留学路、泰安里をぶらりと歩きながら、秋の胡同めぐりを楽しみました。しかし、そこは食いしん坊な二人のこと。秋は秋でも「食欲の秋」に。「もぐもぐ胡同歩き」で二人が食べたものは?

🎥A姐とG姐の「食欲の秋」胡同めぐりの様子はこちらの動画でどうぞ!

■北京に現れた江南の小道?三里河公園

最初の目的地は三里河公園。前門大街から鮮魚口グルメ街を抜けたところにある小さな公園だ。名前からも分かる通り、三里河という川の流れがあり、その流れ沿いに木々が並び、石畳の小道が続いている。東屋や小さな橋がところどころに配置され、住宅も軒を並べており、まるで江南のひなびた田舎の情景のようだ。

川の流れ沿いに気持ちの良い小道が続く三里河公園(撮影・勝又あや子)。

この辺りには、明代にお濠を作った際、正陽門からの排水手段として水路が作られ、その水路沿いに住宅や会館などが集まり、賑わいを見せていたという。しかし、やがて三里河の流れはなくなり、賑わいも過去の話となっていた。近年、東城区はこのエリアのリノベーションに着手。三里河を復元し、環境を整えた。その甲斐あって、今では地元の人々や観光客が散歩や憩いのためにやって来る気持ちのいい公園へと変貌。書店やレストラン、カフェなどもあり、のんびりとした時間を過ごすこともできる。

三里河沿いにある書店とカフェが同居した春風習習・VOYAGE CAFE(撮影・勝又あや子)。

春風習習・VOYAGE CAFEのテラス席で水の流れを見ながらまったり。流れの向こうには散策する人々と一緒に「珍客」の姿も…(撮影・勝又あや子)。

木陰のテラス席で一息ついていると、落ち葉が舞い落ち、小鳥たちの声が聞こえてきて、まさに都会のオアシスという趣だ。放し飼いのニワトリたちが歩き回っているのもまた一興(笑)。

■留学路で「粉もの天国」を満喫!

三里河公園を通り抜けたところでシェア自転車に乗り、一気に留学路胡同へ。この通りはもともと「牛血胡同」と呼ばれていたが、後に「牛血(ニウシュエ)」と発音の似た「留学(リウシュエ)」を用いた「留学路」に改められた。民国期、留学路周辺には多くの西洋風建築が建てられ、非常におしゃれな街だったという。

昔ながらの生活の香りが感じられる留学路の通り(撮影・勝又あや子)。

「女児牆」と呼ばれる手すり壁のある留学路の建物(撮影・勝又あや子)。

今、留学路に来ると、モダンというよりむしろ1980-90年代の北京にタイムスリップしたかのように感じられる。そのせいか、ノスタルジックな雰囲気を求めて、若者たちが数多く訪れる人気のスポットになっている。日本でいうと谷根千(東京都文京区の谷中、根津、千駄木エリアの総称)のようなイメージだろうか。私たちも、売店に並んだ昔ながらのヨーグルトや、フルーツを串に刺してあめがけにした糖葫蘆(タンフールー)、お菓子店の老舗「百年義利」の昔懐かしいビスケット、今ではあまりお目にかかれない五星ビールなどに歓声を上げた。

糖葫蘆とヨーグルトが並ぶ売店(撮影・勝又あや子)。

トウモロコシを使ったスナック菓子は一袋単位でしか買えず、購入を断念(撮影・勝又あや子)。

よく熟させてやわらかくしてから食べると美味しいぽってり柿(撮影・勝又あや子)。

昔懐かしいブリキ缶に入ったビスケット(撮影・勝又あや子)。

この通りはグルメストリートとしても人気だ。小麦粉生地に香辛料や調味料などを練り込んで焼いた焼餅(シャオビン)や、クレープのような煎餅(ジエンビン)などの粉もののお店のほか、量り売りのお菓子を売るお店などに列が出来ていた。

李記老北京焼餅(撮影・勝又あや子)。

中でも人気だったのが李記老北京焼餅。伝統的な焼餅のほか、焼餅の生地でウインナーをロールしたホットドッグ、卵とハムが入った大判焼きのような「中式鶏蛋火腿漢堡」(中国式卵ハムバーガー)まであった。並んでいる人があれこれ買っていくの見ていると、ついつい自分たちもつられていろいろ買いたくなる。いくつか買い込み、さらには「中式鶏蛋火腿漢堡」も買って、熱々をその場でパクリ!

卵とハムが入った大判焼きのような「中式鶏蛋火腿漢堡」(撮影・勝又あや子)。

李記老北京焼餅で買った粉ものあれこれ(撮影・勝又あや子)。

■香廠路であれこれ「買い出し」

留学路の中ほどにあるT字路を曲がると、そこは香廠路。その角にある宮門口饅頭鋪は、行列の絶えない大人気のお店だ。

いつ見ても行列が絶えない宮門口饅頭鋪(撮影・勝又あや子)。

小麦粉生地をふかした饅頭(マントウ)もいいけれど、それをこんがり焼いた特色烤饅頭、砂糖とゴマダレがたっぷり練り込まれた紅糖麻醤花巻、ほかにも貝勒紅豆巻、八宝粘豆包、豆栗黄饃饃、紅糖棗饅頭などなどなど、小豆や栗、棗などが入った美味しそうな粉ものがずらりと並び、思わず目移りしてしまう。しかも、後ろに並んでいる人からの無言のプレッシャーが背中に突き刺さって気持ちが焦る。事前によく予習して、あらかじめ何を頼むのか決めてから注文に挑むのが吉だ。

宮門口饅頭鋪の店頭に並ぶ粉ものと買ったものいろいろ(撮影・勝又あや子)。

香廠路を西に進むと、路面に小さな店が並ぶエリアがあった。八百屋に豆腐屋、肉屋…小さなお店が並んでいる様子は、ミニミニサイズの商店街みたい。特に路面の豆腐屋さんが珍しくて、思わず吸い寄せられた。市場の中の豆腐コーナーはよく見るが、北京の街で独立した路面店の豆腐屋を見かけることは少ない。

香廠路のミニミニ商店街(撮影・勝又あや子)。

お豆腐を一丁注文した後で、隣に置いてある漬物に目がいく。聞いてみると、雪里蕻だという。青々とした浅漬けがいかにも美味しそうで、思わずこれも購入。食べ歩きというよりは、単なる買い出しになってしまった?でも、留学路でも大きな袋をぶら下げた若者たちとたくさんすれ違ったところをみると、思わず買いすぎて大荷物になるのは私たちだけではないようだ。

香廠路の豆腐店で豆腐と雪里蕻をお買い上げ(撮影・勝又あや子)。

■北京の胡同に突如出現するオールド上海!

香廠路から仁寿路に曲がって少し歩くと、「あれ?ここは上海?」と錯覚してしまうかのような建物が目に入った。ここは泰安里というスポットで、上海でよく見られる中洋折衷型の伝統的建築様式「石庫門建築」で作られており、上海の路地「里弄」を思わせる。老北京な雰囲気にあふれた胡同を歩いていたら、思いがけずオールド上海に紛れ込んでしまったような気分だ。

泰安里は北京に現存する唯一の「里弄」式の建物(撮影・勝又あや子)。

この辺りは香廠新市区と呼ばれるエリアで、民国初期に建設された。泰安里の建物は1915年から1918年にかけて作られ、新市区のシンボルだった。当時としてはモダンな建物で、高官や身分の高い人が集まる場所だったという。

しかし、次第にさびれていき、一般市民の住宅として使われるようになった。近年になって、西城区がリノベーションに着手。2023年4月、泰安里は「泰安里文化芸術中心」という総合文化アートスペースへと変貌を遂げた。

路地のような中庭のようなスペースを挟んで細長い建物が並ぶ泰安里の内部(撮影・勝又あや子)。

中に入ってみると、路地のような空間を挟んで、両脇に細長い建物が並んでいる。建物の中は吹き抜けのある二階建てで、二階には手すり壁のある回廊があり、なんとも趣のある造りだ。中にはレストランやカフェ、書店、展示スペース、写真館、マーダーミステリールームなどが入居している。

私たちは一息つきに「石庫門歳月」というお店へ。オールド上海を感じさせる雰囲気の中で、コーヒーとスイーツを楽しんだ。

「石庫門歳月」とラテアートがあしらわれたラテはなんと黄酒入り!「蝴蝶酥(蝶々パイ)」と呼ばれるパルミエも上海らしいお菓子(撮影・勝又あや子)。

一休みした後で二階に上がってみたら、双喜(シュアンシー)をテーマにした展示を発見!レトロな琺瑯のお盆やガラスのコップがずらりと並んでいた。

「囍」の字をあしらった琺瑯のお盆の展示(撮影・勝又あや子)。

双喜というのは、「喜」を横に2つ並べた漢字「囍」のことで、双喜モチーフのグッズは日本人の間にもファンが多い。私たちも例外ではなく、壁一面に広がる「可愛いの大渋滞」に思わずテンションが上がり、これも可愛いあれも可愛いと写真を撮りまくってしまった。

「囍」の字をあしらったガラス製コップの展示(撮影・勝又あや子)。

気持ちのいい秋空に誘われてぶらりと出かけた胡同散歩。水辺の散歩道としてよみがえった三里河公園、ノスタルジックな北京に出会える留学路、北京の胡同の中に忽然と現れる「オールド上海」スポットの泰安里。本格的な冬が来る前に、のんびりお散歩に出かけてみてはいかがですか?(文・勝又あや子)

「人民網日本語版」2024年11月1日

ぶらり北京

北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩き、見たり、食べたり、遊んだり?興味の向くまま、気の向くまま、北京の魅力をゆる~くお伝えしていきます。

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