河南省稍崗鎮、廃棄鋼材が生んだ百億元規模の「巻尺産業」

人民網日本語版 2025年01月15日15:33

写真提供・新華社(撮影・楊静)

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国営工場の廃棄した鋼材の端材を、河南省虞城県稍崗鎮の労働者たちが綿密に計画を練って再利用し、総額120億元(1元は約21.5円)規模の「巻尺産業」を築き上げた。この地のスチール巻尺は年間生産量が15億個近くに達し、生産・販売量で国内市場の85%以上、世界市場の65%以上を占め、120以上の国や地域に輸出されている。

1980年代、スチール巻尺は農村ではまだ珍しい道具だった。稍崗鎮の一部住民が南方地域に出稼ぎに行った際、国営のスチール巻尺工場でスチール巻尺の端材が毎日大量に廃棄されていることに偶然気づき、500グラムあたり3分(0.03元、約0.645円)で購入し故郷に持ち帰った。その後、長さのまちまちな廃材を簡単に選別・裁断し、様々な色の目盛りをつけることで、「ミニ」サイズのスチール巻尺が完成した。こうしてスチール巻尺製造業が河南省の豫東平原にもたらされた。

写真提供・新華社(撮影・楊静)

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販売を進める過程で、稍崗鎮の人々は自分たちの製造したケースのない簡易巻尺が、鋭利な端で顧客の指を傷つけたり、散開しやすく、収納や持ち運び、使用に不便であることに気がついた。そこで、国営工場の製品の外観を真似て、巻尺をケースに納めることにした。稍崗鎮製の巻尺は口コミで次第に市場を獲得。稍崗鎮では巻尺の小規模工場が雨後の筍の如く多数出現した。

1990年代に入ると、稍崗鎮の巻尺製造は家族経営の小規模工場から機械化製造へと移行し始めた。一部の工場では独自に設備を開発したり、設備のセットを導入することで自動化を実現し、技術設備で当時の先進的水準に達した。こうして、高品質かつ高コストパフォーマンスの稍崗鎮製スチール巻尺は中国各地に広まり、さらには海外へも輸出されるようになった。

写真提供・新華社(撮影・楊静)

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現在では稍崗鎮は、研究開発、生産、販売を一体化した「スチール巻尺王国」となっており、毎年生産される5メートル巻尺を端から端までつなげると、地球の赤道を190周以上する計算になる。稍崗鎮には一定規模以上のスチール巻尺会社が1000社近く、自営業者が4800社以上存在し、2000台以上の販売車が全国各都市に展開している。(編集NA)

「人民網日本語版」2025年1月15日

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