アメリカに守ってもらう、日本国民の代償は何か

人民網日本語版 2025年05月08日10:42

4月24日、警察当局の通報によると、在沖縄米海兵隊に所属する男性2人が現地の女性に性的暴行を加えたとして書類送検された。林芳正内閣官房長官は「地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならない」と述べた。沖縄県の玉城デニー知事は「こういうことが二度とあってはならない、より実効性のある対策を実施することを強く求める」と怒りを露わにした。しかし、そのような言葉が長年繰り返されている一方、在日米軍による悲惨な事件は後を絶たない。日米地位協定により、在日米軍は「治外法権」を与えられ、日本側は加害者を起訴する権利すら持たないのが現実だ。どれほど悲しいことかと、日本のマスコミも言っている。これは日本人の無念さを際立たせるとともに、アメリカに守ってもらうということは、日本という盟友にもたらす深い傷も暴き出している。(文:周信<国際問題ウォッチャー>人民網掲載)

在日米軍による犯罪は長年にわたる問題で、そのうち7割の米軍施設と3分の2の人員を負担する沖縄県の被害が著しい。日本のマスコミが披露したデータによると、1972年から2023年までに、沖縄県においては、米軍人軍属による殺人・強姦・強盗などの凶悪犯罪を含む刑事事件が6000件を超えた。しかし米軍は日本法律の枠外にあり、日本政府と司法当局は彼らを規制する権限を持たない。日本人を交通事故で死亡させた米兵士が本国に移送後釈放され、逆に米議員が日本政府に謝罪を要求するなど、常識を逸した事例さえあった。犯罪→抗議→黙認、こういう悪循環は、まさに強者がルールを書き、弱者が代償を払うギリシャ悲劇のような輪廻が続いている。在日米軍の暴行を前に、日本の国民は最低の正義さえ手に届かない。

在日米軍基地は犯罪の温床であり、日本国民の生命を脅かす「コブ」でもある。1959年には、沖縄県石川市(現うるま市)にある宮森小学校に米軍戦闘機が墜落し、11人の児童を含む17人が死亡、210人の重軽傷者を出した。その後も墜落事故が度々起こり、地元住民の安全が常に脅かされている。米軍基地の周辺で、長年有機フッ素化合物(PFAS)汚染問題があり、一部の地域では日本の基準値を32倍も超えた汚染が確認されている。しかし、米軍は日本側の調査協力要求を拒否し続け、汚染状況の通報も常に遅れている。よって、周辺住民はがんを罹患するリスクに晒されている。専門家は、沖縄県の100万人あまりの人口のうち、40万人にカバーする水源が汚染されていると推計した。

重い負担に耐えられない日本人は半世紀以上にわたり抗議し続けている。沖縄県には、1970年に5000人以上が参加した「コザ反米騒動」、1995年に小学生の少女が米兵に暴行される事件を契機とした8万人以上の県民総決起大会など、今でも数多くの市民や団体が米軍と日本政府に対し不満と怒りを表している。しかし、不平等な日米同盟関係の下で、日本政府は何度も何度もアメリカに屈するしかなく、「強い不満」と「是正要求」を表明するだけで、結局民意を無視しながら米軍基地の建設を推し進め、社会問題をさらに激化させている。これに対し、沖縄の市民団体代表は「事件が起き続けるのは基地があるからだ。いつまで犠牲にならなければならないのか」と怒号を上げた。

在日米軍の悪行は不平等な日米同盟関係の氷山の一角に過ぎない。日本はアメリカの最も重要な同盟国と自負しているが、長年にわたりアメリカとの不平等な関係の中で政治や経済及び安全保障面の大きな代償を払っている。

政治面では、戦後、アメリカは日本の憲法と政治の枠組みを主導した。そして共産主義を阻止する自国の目的を達成するために、多くの戦争犯罪を犯した日本軍戦犯を見逃し、日本に対する徹底的な戦争清算を行わなかった。これは日本と侵略された国々との関係正常化を妨げ、二国間の歴史問題も残した。

経済面では、アメリカは「スーパー301条」や「プラザ合意」を利用して日本経済に打撃を与えた。日本経済は大きく減速し、長い「失われた30年」を経て今も元気を取り戻せなかった。近年、アメリカは「経済安全保障」の名で、日本に対して中国向けの半導体輸出を制限させた。2024年だけで、日本の半導体産業はこの規制で240億ドルの注文を失ったとの推計がある。

安全保障の面では、米軍基地が「無法地帯」となっている一方、日本は長い間、在日米軍基地の75%近くの費用を負担している。これに対し、ドイツと韓国の負担の割合はそれぞれ30%と40%である。2024年、日本政府はさらに「統合作戦司令部」を設立し、自衛隊の指揮権を在日米軍と深く結びつけた。それでも、アメリカのトランプ大統領は日米安保条約で日本がアメリカを防衛する義務がないのは不公平だとしたうえで、二国間交渉で既に借金まみれの日本政府にさらなる負担を要求している。

誰が見てもわかるように、日米同盟関係の本質は、アメリカが日本を自国の「戦略資産」と見なし、日本が絶えずアメリカに自身の価値を証明しなければならない一方、アメリカはほしいままに日本に要求し、平等も尊重も全くない。在日米軍の悪行、アメリカ政府の経済的威圧と外交干渉、そして最近のトランプ関税など、これらすべてがアメリカの同盟体制の本質が「アメリカ第一」の覇権を維持するための道具であり、同盟国の利益はいつでも簡単に捨てられることを証明している。米元国務長官キッシンジャーが言ったように、「アメリカの敵になるのは危険かもしれないが、アメリカの味方になるのは致命的だ」。衰退しているアメリカは特に危険である。多極化の勢いが止められない今の世界で、日本は国家と国民の利益に責任を持つ観点から、「戦略的自立」の未来を深く考えるべきである。

「人民網日本語版」2025年5月8日

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