清華大学の劇場にヘッドキャップを装着した「ミステリアスな集団」登場 その正体は?

人民網日本語版 2025年06月20日16:41

「特殊なヘッドキャップを装着して舞踊劇を鑑賞する清華大学の学生」を捉えた画像が最近、中国のネット上で話題となっている。画像を見ると、ヘッドキャップを装着したボランティア8人が並んで、舞踊劇を鑑賞している。ネットユーザーからは、「みんな一緒に髪でも染めてるの?」、「ミステリアスなハイテク集団?」、「ハイテク機器を頭につけて体に影響はないの?」といったコメントが寄せられている。北京日報が伝えた。

ネット上で話題になっているのを受け、清華大学は今月18日、「これは中国初の実際の劇場における神経美学の実験。高精度脳波計を通して、舞踊劇を鑑賞している観客の神経活動を観察し、ブレイン・マシン・インタフェース、及びデコーディングアルゴリズムの科学研究にサポートを提供することを目的としている」と説明した。

学生が鑑賞していたのは舞踊劇「咏春」で、頭に装着しているのは携帯型の脳波計なのだという。清華生物医学工程学院・神経工学実験室の高小榕主任は、「脳科学の手段を通して、人がアートを鑑賞している時の神経活動のパターンをじっくりと研究し、アート創作やアート教育に、科学という角度から下支えを提供したい。2004年に設置された当実験室は、ブレイン・マシン・インタフェース技術を駆使して、信号処理、ハードウェア開発といった次元から、神経美学という先端分野の研究に力を入れている」と説明する。

舞踊劇公演前に、研究チームは文系、理系、工学系といった様々な学科からボランティアを募集。そして、スタッフが事前に脳波計の調整を行い、公演中にそのデータを収集した。「実験で使用したデバイスはどれも安全規格に合格していることが確認されている。非侵襲性の方法でデータを収集したため、ボランティアの健康には何の影響もない。脳波計の装着もそんなに違和感はない。収集した全てのデータも匿名性で処理し、プライバシーが保護されている」という。

研究チームのメンバー・李沢軒さんはネットユーザーが関心を寄せる点について、「劇場には、没入型のスペースを作り、ライトや舞台美術、音響効果をうまく融合し、外部とは隔てられて、公演に完全に没頭できる空間を作り出した。そのような環境にすると、アートに対する観客の最もリアルで、リアルタイムの神経反応を知ることができる。これは、従来の実験室における実験とは比べものにならない方法」と説明する。

実験結果は、観客が舞踊劇に没頭すると、脳のアクティブ度が目に見えて高まり、この種の脳全体の連動と感情には密接な関係があることを示していたという。また、それは、動画を見るよりも、劇場でパフォーマンスを鑑賞するほうが感動する理由にもなっているという。研究チームは現在、神経美学の原理を、気分障害のリハビリ、美的教育、高齢者の認知と介入といった分野へと拡大し、ブレイン・マシン・インタフェース、及び関連のデコーディングアルゴリズムを活用して、脳波のデコーディングの精度を高めることに取り組んでいる。(編集KN)

「人民網日本語版」2025年6月20日

注目フォトニュース

関連記事