中国の演算能力規模が世界第2位に躍進
人間は脳力に依存して思考活動を行うのに対して、AI(人工知能)は演算能力に依存して「思考」する。「第14次五カ年計画」(2021-25年)期間中、中国は演算能力構築への投資を大幅に拡大し、その発展成果は顕著だ。データによれば、2025年には中国の汎用演算能力規模は20%増、スマート演算能力規模は43%増となり、米国に次いで世界第2位となっている。過去5年間近くにわたり、演算能力総規模の年間成長率はおよそ30%に達している。中央テレビニュースが伝えた。
蘇州市街では、自動運転配送車が行き交っている。物流、医薬、商業施設、生鮮配送などの分野で急速に普及しており、安全性に優れている上、100km走行当たりの電気代は十数元(1元は約20.6円)しかかからない。道路状況を自動認識し、測位による配送ができるのは「スマートブレイン」によるものであり、その背後には強大な演算能力の支えが不可欠だ。
この企業が開発した自動運転配送車は、すでに全国31省(自治区・直轄市)、280以上の都市で7000台以上販売されている。それらの車両の効率的な運営を支えているのは、1000億パラメータ規模超のスマート演算能力で、これは一般的なPC約2500台分の演算能力に相当する。この膨大な演算能力は演算能力配分センターから供給されている。
この「演算ネットワークブレイン」は、汎用演算能力、スマート演算能力、スーパー演算能力、量子演算能力を統合し、各業界の計算需要に応じて中国各地の演算能力センターを調整・支援できる。自動運転配送車に供給される演算能力は、その中のごく一部に過ぎない。
「第14次五カ年計画」期間中、中国は北京・天津・河北、長江デルタ、粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市クラスター)、成都・重慶、内蒙古(内モンゴル)、貴州、甘粛、寧夏の8カ所に演算能力ハブを設置。また10カ所の国家データセンタークラスターの建設を計画している。各地で演算能力構築の「スピードと情熱」を競い、大都市周辺から西部地域への拡大を加速させている。
大規模データセンタークラスターには数百万台から一千万台以上規模のサーバーが設置され、電力消費は莫大で、電気代だけで運営維持コストの7割を占める。電力消費の大きいデータセンターを西部に設置することで、西部のエネルギーを有効活用するとともに、炭素排出も削減できる。こうした巨大な電力需要が演算能力の西部への移動の原動力となっている。
寧夏回族自治区中衛市に建設された演算能力センターは、中国初の新エネルギー総合モデルエリアを有し、2.4ギガワット(GW)の太陽光発電と1.8GWの風力発電を備える。グリーン電力利用率は85%超で、年平均気温8.8℃の乾燥冷涼な気候により年間を通して自然冷却が可能。スマート演算能力センターでは1キロワット時(kWh)当たり0.6元の節約が可能で、年間では2億元以上を節約できる。この優位性により、多くの大手インターネット企業がここに進出している。今年、中衛では17件の演算能力プロジェクトが実施され、総投資額は約338億元に達している。
現在、上海のAI産業規模は4500億元を突破し、8年前の3倍となった。浦東新区では10万枚のスマート演算能力カードを備えたスーパーセンターを建設中で、このセンターを基盤に、中国初のAI気象MaaS(マース)プラットフォームが7月16日に上海で正式稼働した。これにより、新エネルギーや海運などの企業に対し、より精度が高く、より限定された範囲の天気予報を提供できる。
さらに、新興産業における演算能力の需要も急速に拡大している。巡航型ドローンは操縦者なしで演算能力センターから直接遠隔指令を受けることができ、農作物の成長状況の自動観測や収穫量予測、ダムの微細な亀裂の発見なども可能になっている。(編集ES)
「人民網日本語版」2025年8月14日
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