山東省曹洼の青空定期市に10万人 人々が求めているのは暮らしの息吹

人民網日本語版 2025年12月05日15:25

最近、山東省の曹洼というエリアにある農産物青空定期市が人気の的となっている。

どれほどの人気があるのだろうか?定期市の日になると、1回あたり10万人以上の客が訪れ、500万元(1元は約21.9円)から600万元ほどの消費を喚起する。ネットでは延べ4億人以上のユーザーが「クラウド来場」している。近隣の江蘇省や安徽省などからは観光客がマイカーに乗って訪れ、省をまたいだグルメや買い物を楽しむほどの人気だ。訪れた人々の1回1人あたりの消費額は約50元で、都会ならコーヒー1杯かハンバーガー1個の値段、あるいはなんとか映画を1回見られるほどの金額に過ぎないが、山東省の南部と江蘇省の北部の境界に位置するこの農村の青空定期市では、このたった50元が目を見張るような消費のポテンシャルを引き出しているという。

曹洼大集の様子。

曹洼大集の様子。

「曹洼大集(大集は定期市の意)」は、山東省臨沂市臨沭県で開かれている曹洼農産物青空定期市で、同省の南部エリアに位置し、江蘇省と境界を接する。ここでは50年以上にわたり、定期市を開く慣習が続いてきた。

曹洼大集を訪れて最も強く感じるのはその「大きさ」だ。肩が触れあうほどの人混みであるものの、目をこらしてもどこまで続いているのか見えない。地元関係者の説明によれば、曹洼大集は敷地面積が170ムー(約11.3ヘクタール)あり、2000を超える露店が出店し、従事者数は5000人を超えるという。

曹洼大集では、河南省、安徽省、江蘇省など他省のナンバープレートの車をあちらこちらで見かける。石臼でひいた小麦粉、各種の穀物、綿布や麻の衣料品、花卉や植物など、ずらりと並んだ種類も豊富な商品は、きわめて田舎っぽいものの、独特の魅力にあふれ、訪れた観光客の多くは値切ることもせず盛んに買い物をしている。

曹洼大集でグルメを買い求める観光客。

曹洼大集でグルメを買い求める観光客。

「年の瀬にはまだ早いし、祝祭日でもないのに、これまであまり知られていなかった曹洼大集がこれほど人気になったのはなぜなのか」や「各地から来る人々は、一体何を求めてここまでやって来るのか」といった疑問を抱くかもしれない。

人々が求めているのは温もりある活気にあふれた暮らしの息吹だ。SNSでは「臨沭の曹洼大集に来て、暮らしの息吹を感じる」というトピックがたびたび検索のトレンド入りをしている。「ぼったくり」などあり得ない適切な価格に、食欲をそそる香りが漂う定期市は、都会の高層ビルであくせくと働く人々にとって「田舎っぽくても心が温まる」定期市なのだ。

駐車場で車を誘導するボランティア。

駐車場で車を誘導するボランティア。

人々が求めているのは理想的な暮らしが営まれる郷土の文化的な郷愁だ。1400年以上の歴史がある柳の編み細工の技術は、博物館にある親しみを感じにくい展示品ではなく、職人の神業のような指先から生まれた小さなカゴとして買い求めることができる。歌うように客に呼びかける露店の「役者」たちは、定期市をまるで囲いのない民俗シアターに変えてしまう。ここは単に商品を取引する農産物青空定期市ではなく、「展示品を持ち帰ることができ、自由に動き回ることができ、自分も関わることのできる」沂蒙エリアの民俗博物館でもある。

人々が求めているのは真心と温もりに包まれた子供時代の記憶だ。他省からのアクセスを受け入れるため、地元では駐車場3ヶ所が急ピッチで整備され、村党支部書記が定期市の会場内をパトロールして「顧客サービス係」の役割を担っている。場内にはトイレが設置され、通信信号を受信する基地局が増設され、スタッフは拡声器で呼びかけをし、商品の価格と品質を監督している。これらの対策が功を奏し、定期市に出かけることが「人気の旅行スタイル」になっている。賑やかなムードの中、訪れた人々は子どもの頃に定期市に出かけた時の懐かしい感覚を追体験している。(編集KS)

「人民網日本語版」2025年12月5日

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