前漢の香炉から新中国スタイルのアロマまで中国で活況の「エモ消費」
春の清々しい陽ざしが心地よいシーズンとなり、お香好きな郭修雯さんは、河北博物院を見学。文化財「錯金銅博山炉」の前で足を止めてじっくりと見ながら、「この2千年以上前の『香炉』を自分の目で見るために、天津からわざわざやって来た。今にもお香の煙が立ち昇ってきそうで、リラックスしている昔の人と、時を超えて出会ったような気分になった」とした。中国新聞社が伝えた。

河北博物院に展示されている錯金銅博山炉。
郭さんがわざわざ見に来た「錯金銅博山炉」は、河北省保定市に位置する前漢の墓「満城漢墓」で出土した前漢の時代の代表的な香炉だ。河北博物院文博館の館員・呉丹丹さんによると、「前漢の時代、博山炉は貴族階級の生活にしっかり溶け込んでおり、服や部屋から香りを漂わせていたほか、香りが煙にのってふんわりと広がり、静かで、リラックスできるムードを演出し、昔の人が心を落ち着かせる重要なアイテムになっていた」とする。
そして、「博山炉の流行は、前漢の時代に、目新しい香料が中国に入って来るようになったことと密接な関係がある。シルクロードが開通したことで、乳香や竜脳香といった樹脂系の香料が中原エリアに次々と伝わった。この種の香料は、炭火で、ゆっくりとくすぶり燃焼させなければ、香りを漂わせることはできない。博山炉の構造はそれにピッタリで、香りを拡散させるだけでなく、煙を見て、香りを楽しみ、雰囲気を感じることができる『没入型体験』を演出してくれる」とする。
2千年以上経った今も、上品な趣は漂い続け、中国人の「香り」を愛する思いは変わっていない。そして、今の若者は全く新しいスタイルで、遺伝子に刻み込まれた感情的追求のバトンを引き継いでいる。
「初めは香水をコレクションしていた。それは、出かける時の『香りの名刺』のようなものだ。その後、中国式お香に出会った。煙が立ち昇り、ビャクダンのほのかな香りをかぐと、肩の力がすっと抜ける気分になる」という郭さんの感想は、多くの若者の思いを代弁している。彼女にとって、それは「香り」であるだけでなく、「心の世界」でもあり、お香を嗅いで心を落ち着かせていた昔の人の気持ちを感じることができるのだという。

河北省石家荘の「織音1953」の禾甜花園アロマ体験店(4月11日撮影・王夏菲)。
春の日の午後、河北省石家荘「織音1953」にある禾甜花園アロマ体験店では、多くの人が好きな香りを探していた。香りを調合してくれるコーナーでは、香りの調合を楽しむ客の姿が見られた。同店の責任者・斉世軍さんは、「主な客層は若者で、そのほとんどが女性。客にとって、アロマがもたらしてくれる情緒的価値は、実用的価値より大きい」とする。
そして、「実店舗では、没入型で香りを試してみることができ、客が自分の感情のために財布のひもを緩めるかのカギとなっている。近年、『東洋美学』を売りにした新中国スタイルのアロマブランドが台頭し、茶や松、ジャスミンといった伝統的な中国式の香りがトレンドとなっている」という。
河北大学附属病院・心理カウンセリング外来診療の主治医・化千里氏は、「この種の消費は、若者の『感情の再構築』がその本質となっている。アロマを使うことで、リズムの速い生活において、若者は気持ちの切り替えをすることができ、自分だけの心の世界を見つけることができる。その他、香りの調合を通じて、若者は多様な自分のイメージを作り出している」と分析している。(編集KN)
「人民網日本語版」2026年4月15日
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