山東省煙台市にある「片方の靴」だけを販売する靴屋

(写真提供・大衆新聞)
山東省煙台市には、「片方の靴」だけを販売する靴屋がある。その店内の壁には、「1歩踏みしめるごとに足跡を1つ残す」という文字が飾られている。この店に靴を買いに来る客のほとんどは、「片方の靴」だけが必要な人だ。大衆新聞が伝えた。
「商売の常識」に反しているようにも見えるこの店はオープンと同時に、話題を集めた。靴を買いに来たある客は、「私たちのような片方の足しかない人が、必要がないのに靴を1足買うために靴屋に行き、異様なものを見るかのような目にさらされて、ばつの悪い思いをしなくてよくなった」と喜んでいた。
この店では、片方の靴だけを購入するために理由を説明する必要はない。その商品棚に並べられているのは靴だけでなく、理解と尊重も並べられているからだ。
店主の龔鈺犇さんは、「1歩踏みしめるごとに足跡が1つしか残らない」若者だ。龔さんは高校3年生だった2012年、同級生を助けようとして、トラックにひかれ、右足を切断。左足も指を2本失った。医師には「もう立つことはできない」とさえ宣告されたものの、龔さんは歯を食いしばって立ち上がり、中国大学統一入学試験(通称「高考」)を受けて、大学に行き、卒業後は起業し、ボランティア活動も続けている。
右足を切断してからずっと、龔さんは買っても履くことのない右足用の靴をきれいに保管しており、すでに数十個にもなるという。これらの靴を見ては、「中国には、自分と同じように片足しかない人がたくさんいる。もしかして履くことのない靴を見て、同じようにもったいないとため息をついているのではないか」と常に感じていたという。

(写真提供・大衆新聞)
そんな龔さんは数年前、取材を受けた際、「『片方の靴』だけを売る靴屋を開きたい」と語ったことがあった。そして今、何年も胸に秘めていた夢がついに叶った。
実際には、「『片方の靴』だけを販売する靴屋」というのは単なるビジネスではなく、「同じような境遇の人の役に立ちたい」という龔さんの長年の思いが詰まった店でもある。龔さんは起業して波に乗り始めたばかりだった2020年、公益性イベント「ブループラン」を始動。2021年4月には、「大犇公益発展センター」を立ち上げて、6歳以下の自閉症の児童のサポートをするようになった。現在までに、チームは自閉症の児童がいる52の家庭を無償でサポートしてきた。
2022年、龔さんは、「全国で最も美しい末端の高等教育機関卒業生」に選出された。同賞を受賞した障がい者は龔さんが1人目となる。
同級生を助けるために片足を失った「最も美しい高校生」が、ECの分野で起業して成功し、その後、自閉症の児童にとっての「あしながおじさん」になり、今では「片方の靴」だけを販売する靴屋を開くようになるなど、1歩踏みしめるごとに、足跡こそ1つしか残らないものの、しっかりと着実に前進し続けている。(編集KN)
「人民網日本語版」2026年6月30日
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