中国のアニメ制作会社が制作したアニメ映画「大魚海棠」の記者会見が18日、北京で開かれ、12年の曲折を経てついに公開された。人民網が各社の報道をまとめて伝えた。
戦国時代の思想家・荘子の「北冥に魚あり、其の名を鯤と為す」の物語に起源するこのアニメは、「山海経」、「捜神記」といった古書と「女媧補天」といった上古の神話の要素も融合されている。「大魚海棠」制作の12年間について梁旋監督は、「2004年に自分の夢を動画にし、その後この動画を映画にできたら凄いんじゃないかと考え始めた。2007年にようやく資金が入り、映画制作が始まった」と語った。
昨年夏に公開された「西遊記之大聖帰来」は、国産アニメの興行収入を塗り替えたが、今回「大魚海棠」が登場したことで、その記録への注目が高まっている。神秘の竹楼、揺れ動く灯篭、たちこめる深い霧、潑墨の遠山。「大魚海棠」は雷鳴の如く長年待ち望んでいたファンの心を打った。ポスターに描かれた海底に沈む少女は、大魚の一滴の涙のようで、感慨深いものがある。
女性主人公は椿という名の女の子。花海棠の成長を見守っている。14歳の時にイルカとなり人間世界を探す旅に出る。途中大波が逆巻き潮が荒れ、椿はあわや命を落とすところを男の子に救われる。しかし、この男の子は椿を救うと引き換えに命を落としてしまう。椿はその命の恩を胸に男の子の魂――小さな子魚の成長を守るようになる。小魚は最終的に「天を舞う大魚」――鯤となる。これは「北冥に魚あり、其の名を鯤と為す。鯤の大いさ其の幾千里なるかを知らず」という物語がまさにその創作イメージの源泉となっている。椿は鯤を海に戻さなければ、彼を人間世界に戻すことはできない。その間、この世界の様々な力に阻害され、霊婆の逆鱗に触れてしまう。霊婆は椿の何を奪ってしまうのか、椿は果たして自らの命で鯤の恩返しをするのか…。
「大魚海棠」という詩的で特別なタイトルについて梁監督は、「大魚は男の子を指し、海棠は女の子を指す。大魚は自由を象徴し、海棠は思いを象徴する。この2点は我々一人一人の心の強さと柔らかさという二面性を意味する」と紹介した。
「12年が過ぎ、我々も少年からおじさんに変わり、この夢もついに実現しようとしている」。梁監督と張春監督は、「気を抜くのはまだ早い。作品を最後の最後まで推敲する。2人のアニメ監督としての夢はまだ始まったばかり」と語った。(編集MI)
「人民網日本語版」2016年4月25日