膨大な作業量
現在、フォントには3500文字が盛り込まれているものの、まだ膨大な作業が残されている。
古代の甲骨文字は発見されてまだ120年しか経っておらず、その研究は今も続いている。陳氏は、古代文献や関連学術著作を研究したり、文字学専門家を訪ねて正しい字形を確認したり、できる限りフォント中に正しい甲骨文字を盛り込もうと努めている。現在、識別されている甲骨文字の数には限りがあるため、対応する漢字がない場合は、「甲骨文字書法」の伝統的な方式に基づき、金文から派生した複雑な書体・金文大篆体も使い、さらに、形声文字なども組み合わせてフォントの内容を増やしている。
陳氏にとって、甲骨文字のデザインを再構築し直すことは、デザイン学と文字学を組み合わせればいいというような単純なことでは決してない。陳氏は、「甲骨文字は、『祖先級』の文字であり、民族文化の遺伝子が含まれており、そこには文字を形作る一つの体系がある。そこに息を吹き込むだけでなく、うまく活かそうとするには、しっかりと理解する必要があり、そのロジックを尊重し、きちんと整理した上で作り上げることで、初めて人々を納得させることができる」とした。そしてユーモラスな革新は受け入れるが、浅はかで軽々しい物まねは決して受け入れられないとしている。そのため陳氏は王陽明の心理学や社会学における実証法まで研究しているほか、ホームズの演繹的推理まで参考にし、甲骨文字のデザインコンセプトを系統化させ続けている。
さらに、陳氏は甲骨文字の要素を文化教育産業やゲームの開発、アプリといった分野にまでコラボさせる予定で、「現在、文字は書くだけでなく、様々な表現方法を持っており、すでに生活の隅々にまで溶け込んでいる。大きな視点で見ると、文字は民族全体の思考パターンにまで影響を及ぼしている。漢字は常に強い生命力に満ちているということがみてとれる」とその思いを語っている。
陳氏はトンパ文字や女書など、中国の他の種類の文字の保護にも関心を抱いており、その際甲骨文字の再構築の経験が活かされているとし、「中国の伝統文化を生き生きとした姿で生活に溶け込ませ、世界に進出させたい」とその意気込みを語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年1月24日
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