中韓の原発汚染水処理基準は低い? 外交部、「概念のすり替えだ」

 2021年04月21日16:24

外交部(外務省)の汪文斌報道官は20日の定例記者会見で、原発汚染水の海洋放出問題について質問に答えた。

【記者】報道によると「中韓両国は原発汚染水の処理基準が日本より低く、科学的に見て中韓の対日批判は意味をなさない」とする声が日本側から挙げられている。これについて中国側としてコメントは。

【汪報道官】日本側の主張は概念をすり替え、視線をそらすものであり、全く科学を重んじておらず、極めて無責任だ。

日本の福島原発事故の汚染水は原発の正常稼働時の排水とは本質的に異なるということを強調したい。第1に発生源が異なる。原発の正常稼働時の排水は国際的に通用する基準に従い、処理を経て、検査で基準に達した後に計画的に放出されており、放射性廃水ではなく、世界中の原発の長年の実践によって、安全で制御可能であることが証明されている。一方、福島原発事故は最高レベルの原発事故であり、その汚染水は溶融(メルトダウン)・損傷した原子炉の炉心を経由した冷却水、地下水、雨水からなり、核分裂により生じた大量の放射性核種を含む。こうした核種は自然界には元来存在しないものであり、国際的に放出の先例がなく、海洋環境及び人々の健康にもたらす影響を軽視できない。

第2に処理の難度が異なる。福島原発事故の汚染水は多核種除去設備(ALPS)によって浄化処理する必要があるが、最終的に放出基準を満たすか否かの検証をなお要する。福島原発事故の汚染水処理の研究を担当する「ALPS小委員会」が2020年2月10日に公表した報告は、2019年12月31日時点で、ALPSによる処理後もなお73%の汚染水が日本の放出基準値を上回ることをはっきりと示している。世界的に権威ある米誌サイエンスも4月13日、ALPSの浄化処理プロセスにおいてはルテニウム、コバルト、ストロンチウム、プルトニウムといった、より寿命が長く、より危険な放射性同位元素がすり抜けることが度々あることを指摘した。日本側が処理プロセスの長期にわたる安定的運用を確保できるのか、大いに疑問だ。

国際社会及び利害関係者と協議を通じた合意をせず、安全な処分方法を研究し尽くすことなく、自国の私利に基づき、現場の貯蔵スペースに限りがあることのみを理由に、自らの経済的代償が最小となる海洋放出案を一方的に選択しながら、環境と健康の安全への最大のリスクを世界に残したままにし、本来自らが担うべき責任を全人類に転嫁する日本側の行為は極めて無責任だ。

日本が現在すべきは疑似科学を掲げて世論を惑わすことではなく、科学的姿勢を真に堅持し、国際社会の問題視や反対を正視し、国際的義務を真摯に履行することだ。(編集NA)

「人民網日本語版」2021年4月21日

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