中国外交部(外務省)の8日の定例記者会見で、趙立堅報道官がウクライナ問題に関する質問に答えた。
【記者】ドイツ連邦議会の「ドイツのための選択肢」(AfD)会派のアリス・ワイデル代表が「西側強硬派は時代後れの冷戦思考に固執し、ロシアの大国としての地位を傲慢にも否定し、ウクライナにNATO加盟という全く果たし得ない約束をして、破滅的な歴史的過ちを犯した。制裁でウクライナでの戦争を終わらせることはできない。各方面に必要なのは、現実的かつ冷静に地政学的状況を見て、東西陣営思考を超越した欧州の安全保障メカニズムの構築に最大限の努力を尽くすことだ」と公に指摘したことについて、中国側としてコメントは。
【趙報道官】 理性的で鋭い見解だ。実は、早くも1997年に米国のジョージ・ケナン元駐ソ連大使が、NATOの東への拡大の継続は、冷戦後の全時期を通じて、米国にとって最も致命的な政策的過ちになると警告していた。米国の著名な国際問題専門家であるトーマス・フリードマンは最近の記事で、今回のウクライナ危機において米国とNATOは決して罪なき傍観者ではなく、NATOの東への拡大に関する米国の政策がウクライナ危機という衝突の大火に「巨大な丸太をくべた」ようなものだと指摘した。こうした公正で客観的かつ理性的な分析が、米欧及びNATOの現実の政策を形作るに至っていないことは残念だ。
中国は常に、一国の安全保障が他国の安全保障を犠牲にすることがあってはならず、地域の安全保障が軍事ブロックの拡大によって実現されることがあってはならないと考えている。ウクライナ問題はとうに、ロシアとウクライナの二国間関係の範疇を遥かに超えている。NATOの5回続けての東への拡大という状況の下、ロシアの安全保障面の正当な訴えは重視され、適切に解決されてしかるべきだ。王毅国務委員兼外交部長(外相)が7日に述べたように、危機を解消するには、国連憲章の趣旨と原則を堅持し、各国の主権及び領土的一体性を尊重し、保障しなければならない。安全保障の不可分性という原則を堅持し、当事者の安全保障上の合理的懸念に配慮しなければならない。対話と交渉を通じた平和的手段による紛争解決を堅持しなければならない。地域の長期的平和・安定に着眼し、均衡の取れた、実効性のある、持続可能な欧州の安全保障メカニズムを構築しなければならない。中国は、引き続き和平交渉の促進に建設的役割を果たしていく。また、必要時に国際社会と共に必要な仲裁をする用意がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年3月9日