解放軍報が選ぶ2023年度10大国際軍事ニュース
図作成・王鳳、劉華山
解放軍報は28日、2023年の10大国際軍事ニュースを発表した。
(1)中国が「グローバル安全保障イニシアティブ・コンセプトペーパー」を発表
2月、中国は「グローバル安全保障イニシアティブ・コンセプトペーパー」を正式に発表した。「コンセプトペーパー」はイニシアティブの核心的理念・原則をさらに詳しく説明し、イニシアティブの重点的協力方針を明確にするとともに、イニシアティブの協力プラットフォームやメカニズムについて提言や構想を示し、中国の世界平和維持への責任感、グローバルな安全保障維持に対する揺るぎない決意を示した。
(2)ロシア・ウクライナ紛争が一進一退を繰り返し膠着状態に
2023年もロシアとウクライナの紛争が続いた。長引く紛争は、地政学的構造と世界経済に深刻な打撃を与えた。厳冬の訪れとともに、紛争は一進一退を繰り返す膠着状態に陥った。
(3)パレスチナ・イスラエル間で新たな大規模武装衝突が勃発
10月7日、ハマスがガザ地区からイスラエルに急襲をかけた。イスラエル軍は直ちにガザ地区への空爆を開始し、地上作戦を続け、民間人多数の死傷と大規模な人道的災害をもたらした。現在、国際社会のメインストリームの声は早期停戦であり、「二国家解決」を実行に移すことがパレスチナ・イスラエル問題を政治的に解決するための打開策だ。
(4)米国が「インド太平洋戦略」の軍事化を加速
4月11日、フィリピンと米国が外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開き、米国がフィリピンで使用できる軍事基地の増加を急ぐことで合意した。8月18日には米日韓首脳が会談し、3ヶ国間の軍事分野の協力強化を決定した。近年、米国は「インド太平洋の安全強化」「インド太平洋の繁栄促進」を旗印に「インド太平洋戦略」を売り込んでいるが、実際には大国を対立に引き込み、陣営対立を作り出し、地域諸国に陣営選択を強要している。
(5)日本が攻撃的戦力の拡充を加速
4月、日本の防衛省が射程1000kmに達するスタンド・オフ・ミサイルの開発について三菱重工業と契約した。11月、米国が巡航ミサイル「トマホーク」400発の日本への売却を承認したと発表した。12月、日英伊が次期ステルス戦闘機の共同開発について合意した。日本は「防衛力」強化を名目に平和憲法の制約と専守防衛政策を不断に突破し、攻撃兵器の拡充を加速して、国際社会の強い警戒を招いている。
(6)地域紛争における無人機の働きが一層顕著に
ロシア・ウクライナ紛争で、ロシア軍は「オルラン」「フォルポスト」「イタルマス」など様々な無人機を戦場に投入。ウクライナ軍も無人機を戦場に投入し、モスクワ攻撃などにも自爆型無人機を繰り返し使用した。パレスチナ・イスラエル衝突の勃発後、イスラエル国内の複数の目標及びシリアやイラクの米軍基地が無人機による攻撃を複数回受けた。
(7)AIの軍事利用が加速
4月、米パランティアは大規模言語モデル「ChatGPT」に基づく人工知能(AI)作戦計画プラットフォームを発表し、ロシア・ウクライナ紛争での運用事例を示した。8月、米国は国防分野で生成AIの運用を推進するための特別チーム「リマ」を新設した。加速し続けるAIの軍事利用は、将来の戦争に計り知れぬ影響を及ぼすものであり、それによってもたらされるセキュリティ、法律、倫理、軍拡競争などの問題を重視する必要があり、国際社会はその発展規範についてコンセンサスの形成を図るべきだ。
(8)国際軍備管理条約複数が失効
2月、ロシアが「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行停止を宣言したことで、米露間にかろうじて残っていた核軍備管理条約は有名無実化した。11月、ロシアは「包括的核実験禁止条約(CTBT)」の批准を正式に撤回するとともに、「欧州通常戦力(CFE)条約」からの脱退手続の完了を発表した。複数の軍備管理条約失効は、国際安全保障環境が冷戦以降最も深い変化の最中にあることを反映している。
(9)NATOがフィンランドを受け入れて拡大を継続
4月4日、フィンランドのNATO加盟式がNATO本部で行われた。これにより、NATO加盟国は31ヶ国となった。米国の脅しの下、NATOは東への拡大加速を企てている。NATOは7月の首脳会合に日韓などアジア太平洋4ヶ国の首脳も招待した。「NATOのアジア太平洋化」は国際社会の警戒を招いている。
(10)世界の軍事費増加が加速
今年、世界各国の軍事費は増加傾向を示した。米国の軍事費は依然として世界最大で、8579億ドル(1ドルは約141.6円)に達した。日独印はいずれも防衛費を10%以上増加。増加分の多くを武器・装備の開発や調達に充てている。現在、世界の軍事費増加は加速期に入り、軍拡競争が激化する勢いを示している。(編集NA)
「人民網日本語版」2023年12月28日
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