化石ビッグデータにより、地球初期の生命進化の謎が明らかに

人民網日本語版 2024年12月24日09:53

生命の起源と初期進化は、生命科学分野の大きな謎だ。南京大学地球科学・工程学院の唐卿研究員と中国科学院の沈樹忠院士など中国内外の複数の科学研究機関の科学者はこのほど学術誌「サイエンス」に、重要な研究成果を長文の論文として発表した。同研究は地球初期の化石ビッグデータを利用し、地球の20-5億年前の約15億年に跨る高精度生物多様性進化プロセスを初めて作成した。複雑な命の起源、広がり、絶滅、再度の広がりから現代の生態系形成に至る初期の歴史的プロセスを描き出した。光明日報が伝えた。

唐氏は、「研究チームは6年を費やし世界でこれまでデータが最も揃った、情報量が最大の地球初期古生物地層データバンクを構築し、合わせて1万3658件の化石ポイントデータを収録した。またスパコンや人工知能(AI)などのビッグデータ分析手段を革新的に結びつけ、高精度の地質時間軸のコンセプトと方法を活用し、地球初期の高精度生物多様性のカーブを作成した」と説明した。

研究では、世界的な大氷河期が地球初期の生命進化の分水嶺であることが判明した。およそ7億2000万年前の世界的な氷河期前に、地球の種の多様性は低いながらも安定した成長パターンを維持していたが、氷河期の終わりとともに、生物多様性が急激に増加し、頻繁に変動するようになった。例えば約6億3500万-5億8000万年前に発生した真核生物の大発生や、その後発生した生物進化の歴史における初の大量絶滅は、当時優勢のトゲ付きの微生物の大量絶滅をもたらした。その後、動物を含む複雑な大型生物が急増したが、約5億5100万-5億3900万年前に多様性がまた2度にわたり著しく減少した。これは動物の進化史上最早の2回の大量絶滅を表している。

データによると、スノーボールアースなどの異常気象は地球初期の生物圏の進化プロセスの大きな妨げとなった可能性がある。氷河期の終わりに伴い、地表温度の上昇と大気中の酸素含有量の増加が、新たな複雑生物の大発生を促した。これは生命の単純から複雑への進化は単純で直線的なものではなく、長期的な停滞と相対的に急速な拡大が交代する発展モデルを呈することをさらに証明した。この研究はさらに、地表温度や酸素含有量などの環境要因の急変が、初期地球の複雑な生命システムの進化に大きな影響を及ぼしたことも示した。

沈氏は、「同研究は初期地球の生物多様性の進化に関する空白を埋めただけでなく、初期地球の複雑な生命の起源と進化の法則の解明、地球外生命体の探求、ハビタブルな地球の持続可能な発展に科学的な参照を提供している」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2024年12月24日

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