高原の種子が宇宙から帰還 新たな生命の旅立ちを開始
1月初めの雲南省森林植物育成・開発利用重点実験室を訪れると、恒温ランプが柔らかな光を放つ育苗箱の300グラムの山椒の種子は、科学研究者の丁寧な栽培により、数10粒から緑の芽が出ていた。新華社が伝えた。
これは単なる山椒の種子ではない。中国初の再利用可能な回収型技術試験衛星「実践19号」に乗り宇宙を旅したことがあり、将来的には雲南省昆明市東川区の赤土の農地に移植され、新たな生命の旅を始めることになる。
昆明市農業科学院が選定した衛星「実践19号」に搭載された種子(2024年7月25日撮影)。撮影・羅新才
実践19号に搭載された多くの科学研究実験物資の中には、雲南省の20以上の機関から選ばれた計7800グラムの物資があり、花卉、生薬、野生キノコ、茶葉、コーヒーなどの高原の特徴的種子もしくは商品が含まれた。
雲南省は2012年より宇宙育種を体系的に推進しており、有人宇宙船「神舟9号」、有人宇宙船「神舟10号」、宇宙実験室「天宮2号」、有人宇宙船「神舟11号」、微小重力科学実験衛星「実践10号」など複数回の打ち上げミッションに参加した。
雲南省宇宙生物科学技術発展促進会の姜暁薇会長は、「『実践19号』に搭載された雲南省の物資の重量は、10数年前の重量の合計を上回った」と説明した。
雲南省安寧市現代農業パークのバラ栽培モデル園で、宇宙育種バラのナンバーを記録する技術者の田連通氏(2023年10月20日撮影)。撮影・胡超
中国農業科学院作物科学研究所党委書記で、国家宇宙育種プロジェクト首席科学者の劉録祥氏は、「国際原子力機関(IAEA)全体の突然変異育種データバンクには計3400以上の突然変異品種が登録されているが、うち中国が選定・育成した品種が約3分の1を占めている」と説明した。
雲南省は高原の特徴的遺伝資源を重視し、宇宙育種を利用し生薬、花卉、野生キノコ、乳酸菌、コーヒーなどの数10種の新たな遺伝資源を選別し、中国の宇宙育種遺伝資源バンクの多様性を豊かにしている。
衛星「実践19号」に搭載されたデンドロビウム・デボニアナムを撮影する雲南省宇宙生物科学技術発展促進会の職員(2024年7月25日撮影)。撮影・羅新才
雲南省宇宙生物科学技術発展促進会で撮影されたアミガサタケ(2024年11月25日撮影)。左は一般的なアミガサタケで、右は宇宙育種技術で育成されたアミガサタケ。撮影・陳欣波
今や宇宙育種のサポートにより、高原の特徴的農業の発展が新たな活力を示しており、農家の持続的で安定的な増収の新たな道を切り開いた。
2024年12月7日に撮影された、雲南種子種業連合実験室の温室(ドローンで撮影)。宇宙から帰還した種子の一部がここで育成されている。撮影・陳欣波
雲南省科学技術庁の統計によると、宇宙育種で選定・育成された稲品種「雲航粳3号」と「雲粳43号」は、稲の年間収量を200万キロ増やし、1億8000万元(1元は約21.5円)の直接的な経済効果をもたらした。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年1月15日
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