雲南省の「中国グリーンアルミニウムバレー」が台頭
343万トンの電解アルミニウム生産能力は中国全体の10分の1を占める。アルミを1トン生産すると、火力発電より二酸化炭素(CO2)の排出量を8トン削減することができ、国際先進レベルに達した。電解アルミのグリーン電力使用率は80%を超えた……。雲南省文山壮(チワン)族苗(ミャオ)族自治州(以下「文山州」)を訪れると、数々のデータが人々の認識を一新している。科技日報が伝えた。
汚染物質を多く排出し、エネルギー消費量が多いアルミ産業がわずか数年で、雲南省南東部の山と森の中でグリーン化と産業の急速なトランスフォーメーション・高度化を実現できたのはなぜか。筆者はそれを確かめるために文山州に足を踏み入れた。
クラスターの優位性でアルミニウムバレー効果が拡大
文山州全域を横断する広昆高速道路と雲桂高速鉄道は、一方では中国の南アジア・東南アジアへと波及する中心地の役割を担い、もう一方では粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市クラスター)の役割を担う。
文山州硯山県で広昆高速道路を下り、白竜山麓の展望台に立つと、敷地面積約666.7ヘクタールの雲南グリーンアルミイノベーション産業パークが目の前に広がる。巨大な現代化工場が建ち並び、チェーン式に配列され、アルミ原材料―電解アルミ―アルミ材精密加工―アルミ応用―アルミ再生の全産業循環チェーンを形成している。
文山州はこの5年間近くで独特な地理的位置と資源の優位性を利用し、世界の産業移転のチャンスを掴み、中鋁、魏橋、創新、神火などの世界トップ500社と中国トップ500社の誘致に成功し、アルミ産業クラスター効果を形成した。
硯山工業パークの雲南宏泰新型材料有限公司(以下「雲南宏泰」)の電解アルミ年間生産量は203万トンで、単体としては世界最大のグリーンアルミ生産拠点になった。パーク全体で生産一体化設計を採用。雲南宏泰はアルミ塊を流し込む必要はなく、液体アルミ原材料は敷地内の専用車により川下企業に直接輸送され、そこで初加工と精密加工が行われる。こうすることでアルミ塊、輸送、溶解のコストを削減している。川下企業のコストを毎年6万元(1元は約20.7円)以上削減し、鋳造・溶解の電力消費を約7600万キロワット時(kWh)削減することができる。
豊富なグリーン電力及びボーキサイト資源により、現在44件のアルミ産業チェーンプロジェクトが文山州に進出している。アルミ加工生産能力は676万トンに達し、製品は複数の分野を網羅。2023年、文山州ののグリーンアルミ総生産額は567億4000万元に達し、今年は800億元を超える見込みで、来年は1000億元の目標達成が期待されている。
文山州党委員会副書記で、州長の馬忠俊氏は、「チェーンのリーディングカンパニーの進出により、文山産業クラスターは電解アルミ生産能力が中国で最大の州・市に、『北アルミニウム南移』(北方地域のアルミニウム産業を南方地域に移動させること)の象徴的エリアになった。中国のグリーンアルミニウムバレーが文山で急速に台頭している」と述べた。
アルミ産業の変革を支えるグリーンエネルギー
水力発電、風力発電、太陽光発電、天然ガス……。文山では、98%を占めるグリーン電力設備容量が、アルミ産業に「グリーンラベル」を貼り付けている。
クリーンエネルギーシステムの構成において、文山は「グリーン電力+アルミ」モデルを革新し、466万kWの電力設備容量を完成させた。1200万kWの風力・太陽光・水力・エネルギー貯蔵プロジェクトを新たに計画している。2本の天然ガスパイプラインを完成させ、年間ガス供給量を5億立方メートルにする。またガス供給量が10億立方メートルの百色―文山天然ガス外部輸送パイプライン複線の建設が急ピッチで進められており、年内の完成を予定している。
文山州富寧県は、グリーンアルミを展開する重要拠点だ。現地は駄娘江や那柳などの水力発電所を利用し、グリーンエネルギー設備容量を近年約120万kW増やし、アルミ産業の電力需要を支えている。
硯山県は中国グリーンなグリーンバレーの中核エリアだ。5年近くの発展を経て、現地のグリーンアルミ産業は無から有へ、弱から強へと変わり、現地の経済・社会の急速な発展を力強く支えている。
雲南硯山産業パーク管理委員会の汪俊強常務副主任は指を折りながら、「当パークの産業の優位性は主に、グリーン電力が占める割合が高く、クリーンエネルギーが豊富で、技術設備が良く、生産プロセスが優れ、産業チェーンが長いということに現れている。雲南宏泰を例にすると、火力発電と比べると通年で標準石炭消費量を1000万トン、CO2排出量を2600万トン削減できる見込みだ。当パークはさらに90メガワット(MW)の分散型太陽光発電の配置を計画している。標準石炭消費量を毎年4万2300トン、CO2排出量を9万8100トン削減できる」と説明した。
テクノロジーでグリーンなグリーンバレーの台頭にエンパワーメント
雲南宏泰では、世界最先端の600キロアンペア (kA)超大容量電解槽技術が順調に導入されている。生産ライン1本当たり標準石炭を4万トン節約し、CO2排出量を10万トン削減できる。年間の経済効果は1億3000万元以上。
汪氏は、「この技術のブレイクスルーにより、文山の電解アルミ単位エネルギー消費量が国際先進レベルに達し、グリーン電力の使用比率が80%以上になった。火力発電と比べ、アルミ1トンの生産で炭素排出を8トン削減し、年間で2600万トン以上削減できる。これは低炭素製品市場で先手を打つための力強いサポートを提供している」と述べた。
同時にグリーンアルミの産業チェーンも伸び続けている。雲南グリーンアルミイノベーション産業パークは「中国グリーンアルミニウムバレー」中核エリアを完成させる目標を立て、全チェーンでグリーンアルミ産業クラスターを構築。主にアルミ合金棒、アルミ板・帯、アルミホイル、建築用型材、合金導線などの製品を生産している。すでに「アルミ原材料―電解アルミ―アルミ材精密加工―アルミ応用―アルミ再生」の全産業循環チェーンをほぼ構築した。
同時にテクノロジースタイルの新規プロジェクトが次々と立ち上げられ、クリーンエネルギーシステムの構築も支えており、グリーンアルミニウムバレーの急台頭に寄与している。文山州はエネルギーの優位性を利用し「液体アルミ直接供給」産業チェーンを構築した。液体アルミの100%が現地で実用化され、再溶解工程が省略された。年間で6億元のコストを削減し、7600万kWhの電力節約を実現。アルミ産業の1kWh当たり生産高は23年の2.04元から26年の3.5元(予想値)に増え、効率が71%アップした。
テクノロジーイノベーションはさらに、産業チェーンの先端化を推進している。文山州は現在、アルミホイルや航空機用板材などの26の精密加工プロジェクトを導入している。投資額は276億5000万元。アルミ材の建材から自動車部品及び大型飛行機材料への高度化を推進している。うち文山企業が研究開発に参加した高強度アルミ合金製品はすでに、海外の独占を打破した。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年2月20日
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