中国経済の次なる「成長の追い風」
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中国経済を観察すると、注目に値する新たな変化がいくつかある。人民日報が伝えた。
重慶市は消費額で国内トップの都市となり、安徽省は自動車生産台数で国内トップの省となった。経済規模の大きい省の中で、上半期(1-6月)の経済成長率で湖北省が6.2%で首位に立った。
これらの新たな変化をつなぎ合わせると、中国経済が深いレベルの構造調整の最中にあることに難なく気づく。調整は変化を意味し、変化は新たな機会を育む。新たな変化や機会をいち早く捉えた企業や地域は、自然と時代の成長の追い風に乗ることになる。
まず、地域発展の新たな機会を見てみよう。重慶市を例に挙げると、「江崖街洞天」消費シーンの構築に加え、「買い替え促進策」を強化し、「全域・全シーズン消費ブーム」を創出している。特筆すべきデータもある。上半期におけるインバウンド客数は延べ92万3000人で、前年同期と比べて77.2%も増加した。内陸部の都市でありながら、世界の注目を集めているのだ。これは、大規模交通網の整備に伴い、もはや「対外開放」が地理的制約を受けず、それ以上にアプローチや仕組み次第となっていることを、改めて裏付けるものだ。
重慶市以外にも、中西部には消費が顕著な伸びを示している省(自治区・直轄市)が少なくない。上半期、河南省の消費の伸び率は全国平均を2.2ポイント上回った。住宅市場が全体的に下落する中、湖北省では分譲住宅の販売面積が同5.9%増、新規着工面積が同5.6%増となった。
「群を抜く」データは意外かもしれないが、深いレベルの調整は実は必然的な流れの結果だ。
全国統一大市場の構築が加速する中、市場は連結され、要素は移動し、「障壁」は打ち破られ、「隔壁」は突き破られており、どの地域も超大規模市場のもたらす利益を享受することができる。これにより、各地域間の発展はより均衡が取れるようになった。要素資源が全国規模でスムーズに移動し、効率的に配置されることで、既存の産業配置や内需構造も変化する。中西部地域は、発展の潜在力を顕在化させつつあり、内需の潜在力を掘り起こすことで新たな発展空間を生み出し、経済循環がさらに深化し、拡大している。
次に、産業の高度化の新たな機会を見てみよう。外部環境の不確実性が増す中、地域の貿易のレジリエンスは産業構造を観察する手がかりとなる。従来から貿易規模の大きな省の中では、江蘇省や浙江省がいち早く産業の高度化に取り組み、輸出成長を維持している。さらに注目すべきは、内陸部のいくつかの省(自治区・直轄市)で輸出が大幅に増加している点だ。上半期、河南省は輸出が38.8%増加し、機電製品は59.8%増加、そのうち自動車は65.7%増加した。湖北省は輸出が38.5%増加し、リチウムイオン電池は2.1倍に増加した。輸出品の「新たな質」との関連性が高い省ほど、外部環境の影響を比較的受けにくいことがわかる。
この現象を通して法則を探ってみよう。優位性は相対的なものであり、固定的な不変のものではあり得ない。産業のモデル転換と高度化に向けた行動が遅ければ、従来の優位性が障害に変わることもある。逆に、発展が遅れている地域でも、新たな質の生産力の発展を断固として加速しさえすれば、後発組としての強みを得て、新たな競争の中で地位を変えることができる。例えば、安徽省は新エネルギー車産業の機会をいち早く捉えることで、急速に成長した。河南省鄭州市は、マイクロドラマという文化産業の新分野を捉えることで、従来の映画・テレビ制作拠点と肩を並べる地位を獲得した。
以上の事から、イノベーションが既存の経済構造を転換させる最大の変数となっていることが分かる。産業の追求するものは「高付加価値」から「新たな質」へと変わりつつあり、新たな産業・モデル・原動力の育成に力を入れることが、後発地域にとって先行地域を追い抜き、差別化競争で既存の産業配置を書き換える有効な手段となる。新たな変化や機会をしっかりと捉えた者は、他をリードする優位性を獲得できるのだ。
最後に、新たな消費動向のもたらす新たな機会を見てみよう。現在、人々の消費ニーズには深い変化が生じており、新たなニーズを把握することが、発展の新たなブルーオーシャンを切り拓くこととなっている。
消費の新たな変化は、個性化の重視として表れている。これまで注目されなかったニッチなニーズや周囲に流されない個性的なニーズが、これから力を注ぐべき方向性である可能性が高い。「小ロット・短納期」のフレキシブル生産は、ここから出現した。ある冷蔵庫メーカーの生産ラインでは、200種類以上の異なる型番の冷蔵庫を同時に組み立てることができる。
消費の新たな変化は、文化的価値の重視として表れている。近年、「長安三万里(Chang An)」や「哪吒之魔童閙海(ナーザの魔童大暴れ)」、故宮関連グッズの継続的な人気、さらに「黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)」の世界的ヒットなど、国産文化IPが次々と登場している。その背景にあるのは、高まる文化消費ニーズだ。
消費の新たな変化は、心理面での体験の重視として表れている。ナイトタイムエコノミー、アートトイIP、「首発経済」(初発表経済)、芸能経済、競技イベント経済等は結局のところ、いずれも新たなシーンを構築し、消費者に全く新たな心理面での体験を提供するものだ。
現在、1990年代生まれ、2000年代生まれの世代はオンラインショッピング利用率がそれぞれ95.1%、88.5%に達し、デジタル消費の主力となっている。中国の14-35歳の若年層は約4億人であり、この層は新たな質の生産力と共に成長して、新たな消費ポテンシャルを発揮し続けるだろう。
中国では、新たな製品や供給を生み出しさえすれば、需要側の活発な新たな消費によって、これを市場における活発な取引へと変え、新たな供給と需要の共振効果を生み出すことができる。これは、中国経済のたゆまぬ更新と高度化にとっての内生的原動力であり、企業の経営や地方の発展にも新たな機会をもたらすことになる。(編集NA)
「人民網日本語版」2025年9月1日
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