競技場から市場へ――大きく進化を遂げる中国製ロボット
「世界人型ロボット競技大会2025」の「100メートルスプリント決勝」での優勝、フルサイズ産業用人型ロボットの量産開始と納入、無人薬局や無人小売でのロボットの応用などを通じ、今年、中国のロボットは競技場から市場へと進出し、単に「動く」だけでなく、「使われる」存在へと進化した。

■ 量産の「加速度」を出す
大手メーカーは量産化と技術進化を通じて、ロボットのコスト低減と生産能力の強化を推進している。「加速進化」(Booster Robotics)の製品の世界累計出荷台数は1000台近くに達し、「優必選」(UBTECH)は産業用人型ロボットの年間生産能力を2026年に5000台、2027年に1万台に拡大する見込みだ。
量産による目覚ましい成果は、産業チェーンの整備と切り離せない。すでに中国のロボット企業は、川上の重要部品、川中の完成機製造、川下の統合応用を網羅する整った産業チェーンを構築している。中国機械工業連合会のデータによれば、今年第1-3四半期(1-9月)における中国の産業用ロボット生産台数は59万5000台、サービスロボット生産量は1350万セットに達し、いずれも2024年の年間生産量をすでに大きく上回っている。
北京郵電大学の方斌教授によれば、中国はロボットの量産能力とコスト管理において、すでに世界トップクラスに達しており、「サプライチェーンの優位性」から「応用シーンを定義する能力」へと移行している。今後は、独自アルゴリズムの研究開発、先進的センサー技術、学際的融合等への投資を強化することで、コア・コンピタンスを高める必要がある。
■より多くの応用シーンへ進出
世界初の人型ロボットによるハーフマラソン競技場での走行から、生産ラインでの資材箱運搬や部品組み立て、病院での医薬品の仕分けや手術支援、家庭でのコーヒー淹れや衣類のたたみ作業、教室での「講義」、ステージでの人間のパフォーマーとのダンスまで、ロボットは「技術検証」段階から「社会実践」段階へと飛躍を遂げた。

今年、「エンボディドAI」が初めて「政府活動報告」に盛り込まれ、中国共産党第20期中央委員会第4回会議(四中全会)の採択した「第15次五カ年計画(2026-30年)」提案は、エンボディドAIを先見的に配置すべき未来産業の一つに位置づけた。中国各地で取り組みが加速しており、北京市はエンボディドAIロボットの導入を1万台規模で推進し、1000億元規模の産業クラスターを育成する計画だ。上海市は物流組立、工業製造、商業小売などを牽引分野として、応用シーン・課題の公募を実施。深セン市はエンボディドAIなどの核心的なブレイクスルーを加速させ、AI端末の新製品を豊富に発展させ、産業をより高度で、より新しく、より優れたものへと変える後押しをしている。
■新たな「新三種の神器」となり、海外進出ブームを巻き起こす
この一年、中国のロボット、AI、革新的医薬品は、従来の「新三種の神器」(電気自動車、リチウム電池、太陽電池)に取って代わり、新たな「新三種の神器」となって海外進出ブームを巻き起こした。

統計によれば、今年第1-3四半期の中国の産業用ロボット輸出は前年同期比で54.9%増加した。
日本の大阪万博中国館で「ガイド大使」を務め、ドイツのブランデンブルク工科大学で学生の建築材料の運搬や積み下ろしを支援し、アラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ラーシド図書館で利用者サービスを行うなど、中国のロボットは世界各地へ広く進出している。
政策面での持続的な後押しによって、ロボットは徐々に「一般家庭」へと浸透しつつある。将来を展望すると、ロボット進化の道には機会と課題が併存している。方斌氏によれば、ロボット産業の急速な発展に直面する中で、社会全体が、イノベーションによる恩恵を受ける一方で、それに伴うデータセキュリティリスク、倫理的課題、雇用への打撃への対応策を考えるべきであり、先見性と体系性を備えた責任あるガバナンス戦略を採用し、革新的な発展とリスク管理・コントロールとのバランスをうまくとる必要がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2025年12月30日
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