演算能力が足りなければ宇宙へ 中国で進む「宇宙コンピューティング」

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このところ、北京では北京太空智算研究院(北京宇宙人工知能<AI>演算能力研究院)が設立され、天津では「宇宙デジタルスマート・インフラ共同研究機関」が立ち上げられ、上海では上海宇宙演算能力産業エコシステムのパートナー計画がスタートした。
こうした各地での相次ぐ動きは、全て同じ分野を目指している。「宇宙コンピューティング」という方向だ。
「宇宙コンピューティング」とは一体何か。
国研新経済研究院の創始者であり院長を務める朱克力氏は、「宇宙コンピューティングとはつまり、地上のデータセンターとNPU(AIの処理に特化した専用プロセッサ)を地球に近い軌道上に置き、宇宙データを軌道上で収集し、リアルタイムで演算処理し、スマート解析を行い、結果を地球に送信することを実現する全く新しい宇宙ベースのデジタルインフラだ」と説明した。
簡単に言うと、データセンターを宇宙に移し、処理が終わると地球に結果を送り返すというイメージだ。
演算能力を宇宙に移す背後には、経済的な目算がある。
従来の衛星は「宅配便の配達員」のようなもので、データを収集し、「梱包」し、地上に運ぶだけで、演算はその後に行うため、遅延が生じる。遅延は短ければ数時間、長ければ数日にも及び、データ利用率は10%にも満たなかった。朱院長はこれを、「宇宙で収集、地球で処理」と形容した。
それに対し、宇宙コンピューティングは発想を変え、軌道上で直接リアルタイムのデータ処理分析を行い、秒単位の超高速レスポンスによって価値ある結果を地球に迅速に送り、帯域使用率を90%以上低下させた。このモデルは「宇宙で収集、宇宙で処理」であり、「宇宙と地球の協働」と言える。
宇宙コンピューティングは、インターネットとクラウドコンピューティングに続いて、インフラ建設の非常に大きなチャンスになるかもしれない。業界関連機関の予測では、2030年までに、グローバル宇宙経済市場の規模は1兆ドル(1ドルは約160.6円)を超えると見られる。
経済効果もさることながら、より重要なのはエネルギー消費だ。AIの急速な発展により、地上の演算能力は用地不足、エネルギー使用の制限、高額の冷却コスト、拡張余地の不足といった周囲の環境による制約を受けるようになった。これに対し、宇宙コンピューティングには、太陽エネルギーが持続的に供給され、低温の環境は天然の冷却装置となり、空間的制約がないといった優位性ある条件が備わっている。理論的には、データセンターのエネルギー効率(PUE)の数値が1に近くなり、二酸化炭素(CO2)の排出量はほぼゼロになり、極めて希少な低コストグリーン演算能力となる。
中国情報通信研究院の専門家の説明によると、中国は現在、宇宙コンピューティングの競争で世界の第1グループに入っているという。
工業・情報化部(省)は先ごろ、「宇宙コンピューティング技術の先進的研究の展開を支援し、宇宙コンピューティング産業の発展を秩序よく推進する」方針を明確にした。(編集KS)
「人民網日本語版」2026年6月18日
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