世界銀行は2006年の「東アジア経済発展報告」において、初めて「中所得の罠」(Middle Income Trap)と呼ばれる概念を示した。これはある経済体の1人当たりの平均収入が世界中等レベルに達した後、発展戦略及び発展方式の転換を順調に実現できなかったために、新たな成長の原動力(特に内在的な原動力)不足を招き、経済が長期的な停滞に陥ることを指す。また貧富の差の拡大、産業アップグレードおよび都市化の停滞、社会的問題の突出といった、高度発展において蓄積された問題が集中的に顕在化する危険性をはらむ。