唐儀翔さんは1977年、東北地方の小さな町、吉林省敦化で生まれた。2007年に30歳で劉麗麗さんと結婚した後、長年経営してきたレンガ工場をやめて夫婦で敦化でレストランを開いた。レストランの経営は順調に行き、夫婦は人生初の富を手にした。中国新聞網が伝えた。
しかし商売の規模を拡大しようとした夫婦2人の前に、ある現実的な問題が立ちはだかった。毎日仕事で忙しいため、高齢で体調が優れない父方と母方の祖母2人の面倒を見ることが難しくなったのだ。家政婦を探すのも難しい状況だった。そのため夫婦は相談して条件のよい施設を探し、祖母たちを入居させようとした。しかし予想もしなかったことだが、敦化市ではサービスや環境の面で満足できる高齢者施設が見つからなかった。唐さんと妻の劉さんは話し合いを重ね、彼らと同じように高齢者の世話が必要な家庭は多いのに、吉林省敦化市には生活環境から優れた介護サービスまでそろった高齢者施設が少ないことを実感した。そのため2人は専門の高齢者施設を開くことを決意した。そうすれば自分の家の祖母の問題を解決できるだけでなく、介護が必要な現地の他の高齢者にもサービスを提供することができる。
2011年に劉麗麗さんが妊娠すると、夫婦はレストランを売却し、以前レンガ工場を経営していた跡地の4千平方メートル以上を利用して高齢者向けマンションの寿山福海養老院を建設した。2013年、夫婦が全ての蓄えを投じた敦化市寿山福海高齢者マンションは正式にオープンし、1年以上の努力を経て現在では40人以上の高齢者が入居している。入居者の年齢は68歳から94歳、平均年齢は83歳で、同高齢者マンションでは専門の介護職員も6人雇用している。唐さん夫婦は両親の支援も得て、一家全員で現地の高齢者事業に打ち込んでいる。夫婦の理想は高く、現地で最も優れた高齢者施設を建設したいと希望したことから、夫婦の貯蓄全てを投資した上に1千万元(約1億6700万円)近くの融資を受けた。現在、毎月の利息支払いの圧力は大きく、経営上の困難も大きいが、夫婦は奮闘している。
唐さんは、「中国は既に高齢化社会に入っており、両親のように介護が必要な高齢者が増加していることが社会的な注目を集めている。より多くの各級政府の重視も必要だ。高齢者産業は成長産業であり、発展の将来性は明るい。私たちはこの事業を成功させる決意がある。政府が地方の高齢者産業に一層の政策的優遇措置を実施し、賃貸料や税徴収の一部を減免してくれること、またより多くの社会各界の友人が共に中国の高齢者産業の発展のために貢献してくれることを願う」と語る。(編集YH)
「人民網日本語版」2014年8月20日