重慶市大足県にある仏教石窟・大足石刻(だいそくせっこく)のうち、千手観音菩薩の修復作業がこのほど終了。13日に約8年ぶりに一般公開され、雨の中、約1万人が訪れた。約800年の歴史を誇る大足石刻の修復には、7年の歳月と数千万元の費用がかけられた。中国新聞網が報じた。
千手観音菩薩が作られたのは、南宋の淳熙から淳祐(1174-1252)の78年間。高さ7.7メートル、幅12.5メートルで、雕塑、金箔、彩色上絵が一体となった中国最大の摩崖石刻(天然の石の崖に掘られたもの)だ。2008年6月、中国国家文物局が修復作業を認可した。作業が始まり、明や清の時代に行われた修復作業時に施された金箔や彩色上絵が剥がされると、これまでは厳しい表情だった千手観音菩薩は、実は微笑んでおり、親しみやすい表情をしていることが分かった。
修復作業をするに当たり、作業員らは、情報技術を使って古代の仏教関連の画像や史料を調査したほか、3Dレーザースキャンやレントゲン技術などを利用し、ひび割れを検出したり、深部の構造を調べたりした。また、3Dプリント技術を利用し、高さ1.3メートルの主尊像を製作し、参考にしたほか、顔の等身大の模型も作り、眼球の大きさを確定した。
「毎年、参詣に来る」という張久恩さん(72)は、「修復作業後の千手観音菩薩はとても親しみがある感じ。この世の苦しみを聞きながらも、善の道を行うよう勧めているよう。このような親しみこそが、南宋の気質」と話した。中国文化遺産研究の劉曙光院長は、「仏教は漢の時代(紀元前202-8、西暦25-220年)に中国に伝わった。社会、経済が発展し、彫刻技術が向上するにつれ、仏像の世俗化も進んだ。南宋時代の仏像は、表情が柔和で、曲線も優美。千手観音菩薩の元々の表情がその典型的な例」と説明している。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年6月15日