中国のSNSには「指ハート」や「いいね!の仲」、「コール」といった斬新なワードから、「666」や「999」、「2333」など、見ただけでは意味がよく分からない「パスワード」系ワード、「敲」や「造」、「方」などの感情を表す新たな表現を使うネットユーザーが多い。そして、95後(1995年から1999年生まれ)が何を言っているのか理解できない60後(60年代生まれ)や70後(70年代生まれ)、80後(80年代生まれ)の人々はまさに「1万ポイントのダメージ」並みのショックを受けている。30日、騰訊(テンセント)のQQ指数は中国社会科学院社会学研究所と共同で、QQ指数のビッグデータに基づき、95後がよく使う120ワードをまとめた書籍「95後が使うホットワード」の発表会を開いた。多くの人にとってはチンプンカンプンな新語だが、95後の若者たちの新たな文化と生態に真に迫った記録とも言える。北京晨報が報じた。
インターネットの発展と共に育った世代である95後が使う言葉は、インターネット文化の影響を受けながら常に変化している。彼らはアニメや漫画、ゲームといった二次元文化を好み、世界の言葉が中国語に与える影響を受け入れ、新語を生み出すだけでなく、従来からある言葉に全く新しい意味を加えている。例えば、自分の好きな人を応援することを「コールしまくる」と表現し、面白い場合は「2333」、相手の凄さを称賛する場合は「666」、何か欲しいものができた場合はその虜になったという意味で「種草(草を植える)」と言い、自分の思いの赴くままに行動できる熱血な人を称賛する場合は「燃」という字で表現している。
95後の使う言葉を研究する理由について、騰訊のSNS事業群市場部の李丹総経理は、「言語と文字は文化の代表であり、縮図。今の若者のリアルな姿を生き生きと反映しており、その他の世代の人々が彼らのことをよりはっきりと理解できるように促すため」と説明する。中国社会科学院社会学研究所の陳光金所長は、「ホットワードは95後を読み解くためのカギ」とし、「95後はインターネット文化やアニメ文化の影響の下、自分たちなりの言葉や交流スタイルを生み出してきた。こうしたフレーズや言葉は95後が生み出している文化の一部であるだけでなく、私たちが今の若者文化を理解するためのカギでもある。95後が好んで使う言葉を見ると、気が利いていて、ユーモアにあふれ、おもしろいばかりでなく、癒しや発散を求める気持ちも見え隠れしている。そのような気持ちを研究、観察することで、95後が未来に何を求めているかを理解する助けにもなる」との見方を示している。
騰訊SNS運営部の趙建春副総経理によると、95後のユーモアセンスは自虐ネタを好み、クオリティの高い生活にあこがれ、自分の興味が原動力になっているという特徴が際立っているとしている。例えば、昨年11月、米国大統領選挙の期間と男性アイドルグループ・TFBOYSのメンバー王源の誕生日が重なった。その日、95後の間で交わされたヒラリー氏とトランプ氏をめぐる話題は数万件だったのに対し、王源の誕生日に対する注目度はその十倍以上だった。また、『三八婦女節』(国際女性デー)の今年3月8日のQQ指数を分析すると、「女性デー」をめぐる話題は100万回だったものの、「女神デー」に関する話題は1000万回以上。その主な原因は95後が「女性デー」を「女神デー」に変えてしまったからだ。また趙副総経理は、95後世代は世界の重大ニュースに興味を持たないとよく言われているが、映画「戦狼2(ウルフ・オブ・ウォー2)」の上映期間中、その話題数は400万件以上となり、中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)に関する話題数も500万件以上と、米国の大統領選挙を大きく上回っており、彼らは祖国が発展し、強大になることに非常に関心を抱いており、それを誇りに感じていると分析している。
95後がよく使う120ワードが描き出す95後の姿について、李総経理は、「95後を一言で言うなら、一言では言い表せないというのが最もぴったり。95後の特徴を敢えてあげるとすれば、『自分たちの文化に自信を持っている』、『品質を追求する』、『クレイジーでありながら孤独』などだろう。自分たちの文化に自信を持っているというのは、経済発展がベースとなっている。95後の多くは経済的ストレスがあまりなく、何をするにしても『興味のあること』が動機だ。何かを好きになると、それにのめり込み、たくさんの時間や金をつぎ込み、しかもそうした文化を積極的に他の人に伝える。インターネットと共に育った95後世代はクオリティの高い生活を求めており、コンテンツのために金を払い、何らかの知識を得たり、娯楽を楽しんだりすることをいとわない。しかし、95後はクレイジーでありながら孤独でもある。そのため、SNSに依存し、インターネットの世界で気の合う仲間や自分のことを認めてくれる人、居場所を見つけようとする」と分析している。
95後がよく使う言葉10大分野別ピックアップ(例文つき)
1.音訳ワード
愛豆:英単語の「idol」の発音と似ていることから生まれた単語で、意味はそのまま「アイドル」。今では、ファンのアイドルに対する愛称ともなっている。
例文)「愛豆(アイドル)」の熱愛が発覚して、大ショック!
凹:中国語の「凹」と英単語「out」と発音が似ていることから生まれた単語で、時代遅れや流行についていけていないという意味で使われる。
例文)これは今年のトレンド色なのよ。知らないなんて「凹(アウト)」ね。
伐木累:英単語の「family」の発音と似ていることから生まれた単語で、意味はそのまま「家庭」や「家族」。
例文)私たちは相思相愛の「伐木累(ファミリー)」よ!
黒泡:英単語の「Hip Hop」の発音と似ていることから生まれた単語で、意味は「ヒップホップ」。
例文)ゴールドの派手なネックレスに、だぶだぶのTシャツ、スニーカーを履き、ドレッドヘアで、見るからに「黒泡(ヒップホップ)」好きな若者だね!
2.語呂合わせワード
吃藕:この二文字をつなげて読むと、「丑」の発音と似ていることから生まれた単語で、意味は「醜い」や「不細工」。
例文)僕は「吃藕(不細工)」だけど、やさしいよ。
方:中国語の「方」とパニックという意味の中国語「慌」の発音が似ていることから生まれた単語で、慌てふためく気持ちを、ユーモラスに表現する時に「方」を使う。
例文)私すごい「方(パニック)」になってる。
今ちょっと「方(パニック)」してる。
3.もともとある単語に新しい意味を加えたワード
沈船:もともとは「船が沈む」という意味の中国語だが、95後はゲーム時のくじ運が悪く、好きなアイテムが手に入らない時などに、「気分が沈む」といった意味でこの言葉を使う。
例文)今日は運が悪くて、「沈船(沈むわ)」。
種草:もともとは「草を植える」という意味の中国語だが、95後は自分の好きなことを他の人にシェアし、それを他の人にも好きになってもらう過程を指す言葉として使う。また、自分が他の人の影響を受けて、何かを好きになった時に使ってもいい。
例文)ずっと「種草(虜になっていた)」だった口紅をついに買えて、すごいうれしい!
保温杯:もともとは「魔法瓶」という意味の中国語だが、95後は、ミッドライフ・クライシスの「症状」の一つの象徴として使う。
例文)若い時にはやりたい放題していた人でも、中年になると、健康志向になり、「保温杯(守りに入った)」日々をすごすことになる。
4.外来語ワード
FLAG:何かを話したり、何かをするという意味で使われる。これらの話す内容や行動には、「結末の方向」が暗示されている。
例文)先月立てたダイエットのFLAGはどうなったの?ジムで全然姿見ないけど?
wuli:韓国語の音訳で「私たち」や「私たちの」という意味で使われる。友達や好きなアイドルを、親しみを込めて「wuli +名前」というスタイルで呼ぶ。
5.略称ワード
李菊福:「理屈にもかない、根拠もあり、信憑性がある」という意味の中国語のフレーズを略した「理拠服」の発音と似ていることから生まれた単語。掲示板の投稿などに嫌味っぽくコメントする時などに使う。
例文)画像ないと真相は分からない。画像があれば「李菊福(納得できる)」けどね。
数体教:「数学は体育の先生に教えてもらった」という意味の中国語のフレーズの略。数学の成績が悪い場合だけでなく、誰かのある分野の能力が低い場合にもこの言葉を使う。
6.数字ワード
666:中国語の「溜溜溜」や「牛牛牛」の発音と数字の「6」の発音が似ていることから生まれた単語で、誰かまたは何かが、ある分野でとても優れている時に、「すごい!」という意味で使う。
2333:お腹を抱えて笑う絵文字のコード番号から派生した単語で、「2333」の後にさらに「3」を加え、「2333333」などと使い、爆笑の度合いと長さなどを強調することも多い。心からおもしろいと思っている気持ちを表現する時に使う。
7.中国語と英語のミックスワード
瘋狂打call:日本語の俗に「オタ芸」と呼ばれる、ファンによる振り付けで会場の高揚感を煽る行為を表す「コール」から派生した言葉で、「〇〇のためにコールしまくる」という言葉は、誰かや何かを強く応援することを指す。
8.男性関連ワード
塩系男:清潔感があり、細身で背が高く、唇がうすく、顔の輪郭が美しく、さわやかな男性のことを指す。
9.女性関連ワード
小姐姐:オタク男子がかわいいアイドルのことを親しみを込めて「小姐姐」と呼ぶことが多い。アイドルの年齢が「妹」と呼ばれる年齢ではない場合、お姉さんという意味の「姐」という文字を使って「小姐姐」となった。今では、年があまり離れていないかわいい女性を呼ぶ時にも使われる。
10.グループ関連ワード
紅領巾:「少年先鋒隊員」が首に巻く赤いスカーフを指すが95後の間ではネット上で匿名で投稿やリソースシェアといった「善行」を行う人や知らないネットユーザーを助けたりすることを指して使われている。
例文)復習用の資料をすでにQQグループに送っておいたよ。私のことを「紅領巾(模範生)」と呼んでね!
(編集KN)
「人民網日本語版」2017年11月2日
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