2022年の北京冬季五輪を前に、中国でウィンタースポーツ人口の増加と中日両国のウィンタースポーツ交流を促進させるため、「東北の魅力 日本東北地方ウィンタースポーツ・観光セミナー」が20日、北京市にある人民網第1スタジオで開かれた。中国からは、中誠信投資集団有限公司CFOの韓剛氏、北京市ウィンタースポーツ管理センター副センター長で北京市スキー協会会長の李暁鳴氏、旅行サイト・馬蜂窩の王氷氏、経験豊かなスキーヤーで直滑中国の共同創始者の王智珣氏、逸格探索総経理の肖亜東氏が、日本からは東北三県のスキー場代表として裏磐梯グランデコ東急ホテルの小山徹氏、山形藏王温泉スキー場・タカミヤホテルグループの遠藤拓也氏と土屋一孝氏、宮城県仙台市・スプリングバレー泉高原スキー場の高橋和孝氏が出席し、各クラブのスキーヤーら約100人が一堂に会し、中国のスキー業界の現状や中日両国のスキー分野における協力の可能性、その発展トレンドなどについて語り合った。人民網が報じた。
横井大使も祝辞寄せ、中日のウィンタースポーツ交流に期待
在中国日本大使館の横井裕大使は、セミナー開催を祝福する動画を寄せ、「近年、日本を訪問する中国人観光客には団体旅行から個人旅行へ、ゴールデンルートから地方へという二つの大きな流れがあり、この流れは中国人観光客が、日本の隠れた魅力を再発見する流れとなっている。今日のセミナーで紹介する日本の東北地方は、是非訪れていただきたい地域。日本のスキーというと、北海道や長野県を思い浮かべる人が多いかもしれないが、東北地方にも素晴らしいスキーリゾートがたくさんある。22年北京冬季五輪の開催に向け、中国でスキー人気が高まり、より多くの方々が東北地方を始めとする日本のスキーリゾートを訪れていただけることを期待している」とした。
セミナーではまず日本の東北三県のスキー場代表者がそれぞれのスキー資源について中国のスキーヤーに向けて紹介した。
東北地方でランキングのトップを占める福島のグランデコ
数多くのスキー場や観光施設がある福島県において、裏磐梯グランデコ東急ホテルは、スキー場とホテルが一体となったリゾート型の観光施設となっている。裏磐梯グランデコ東急ホテルの小山氏は、日本最大級のスキー場情報サイト・SURF&SNOWの調査において、グランデコスノーリゾートは、スキー場の総合ランキングやゲレンデ総合ランキング、パウダーが楽しめるスキー場、接客・サービス、子供が安心して滑れるスキー場といった項目でいずれも東北地方のスキー場トップにランクインしていると紹介した。
スキー以外のウィンターリゾートの人気も高まる山形県の蔵王
東北地方最大規模のスキー場である山形県の藏王温泉スキー場は、リゾート施設ではないものの、樹氷や周辺の温泉、グルメ、様々なスタイルの宿泊施設などが、各国のスキーヤーからの人気も高い。タカミヤホテルグループの遠藤氏は、近年、中国人スキーヤーが年を追うごとに増えているだけでなく、スキー以外にも、樹氷の鑑賞や温泉を楽しむ観光客の増加も顕著だと山形県におけるウィンターリゾートの現状を紹介した。
アクセスが便利な宮城のスプリングバレー
スキー場というと通常、アクセスが不便な山地や高原にある場合が多いが、宮城県仙台市にあるスプリングバレー泉高原スキー場は、アクセスが非常に便利な点が最大のメリット。同スキー場の高橋氏によると、都市型スキー場である同スキー場は、コースやスキースクールが充実しているほか、仙台市の中心から車でわずか40分の距離ということもあり、夜は市内に宿泊し、日中はスキーを楽しみたいというスキーヤーの需要を満たしている。スキー場にはスキー用品などさまざまな商品が揃ったショップもあり、スキーとショッピング、都市観光を一体化させた旅行目的地になるとしている。
中国のスキー業界の現状とは?
中国国内のウィンタースポーツブームに呼応し、どんどんPRしたいという思いを抱く日本の各スキー場は、中国のスキー業界の現状にも高い関心を示している。セミナーでは中誠信投資集団有限公司CFOの韓氏が、中国国内におけるスキー最前線の状況を紹介し、「中国のスキー場は4段階を経て発展しており、産業が開拓された1994年から2001年にかけては黒竜江省亜布力風車山荘を始めとした中国初の大型スキーリゾートが登場し、一般の人々もスキーを楽しめるようになった。次に都市郊外のスキー場が普及した2001年から2007年にかけては北京をメインとする大都市の郊外に続々とスキー場ができ、より幅広い人々がスキーを楽しむ時代に。さらにスキー場が経営スタイルを国外から学んだ2007年から2014年にかけては北米のリゾートスキーやスキー不動産スタイルに学び、亜布力陽光リゾートを代表とするリゾート型スキー施設が登場。同時に吉林省長白山万達や河北省張家口崇礼雲頂などの登場により、中国が冬季五輪開催地として立候補する基礎を据えた。2015年は、冬季五輪開催が決まり、産業のブレークスルーの段階に突入した。五輪開催を受けて、崇礼や長白山などでは、大型スキーリゾートが林立し、政府もサポートを強化したことで、国民の間でもスキー人気が高まり、万科などの大手不動産企業が続々とスキー産業に参入したことで、中国のスキー業界は、五輪特殊に沸いている」とした。
中日スキー産業のマッチングについて有意義な意見交わされたディスカッション
ディスカッションでは、肖総経理が進行を務め、李会長、王氷氏、王智珣氏がそれぞれの観点から、中日両国のスキー産業をマッチングさせる方法について見解を語った。日本のスキー業界が中国でのPRを強化していることについて、李会長は、「日本側はスキーヤーを対象にしたPRを強化するだけでなく、より幅広い一般の訪日観光客たちに向けて日本におけるスキーの優位性をPRし、彼らが日本でスキーに触れる機会を提供することに力を入れるべきであり、中日両国が手を取り合ってウィンタースポーツを開拓、普及して行く必要がある。また日本側にはさまざまな顧客ターゲットに向けたバラエティに富んだプログラムを提供してほしい。日本の多くのスキー場には、それぞれの資源を活用できるターゲットを中国で見つけ出してPRを行い、中国のスキーヤーにとって最適のルートを示してほしい。そして北京を始めとする中国のスキーヤーたちはすでに雪質にこだわる段階に入ってきているため、こうした消費トレンドに日本のスキー業界が注目することを願っている」と語った。
セミナーに参加した専門家たちは、中国において日本へのスキー旅行という観光スタイルを定着させるには、中日のスキー業界が力を合わせ、スキーに関する知識の普及に取り組み、中国国内の専門機構と共同でウィンタースポーツイベントを企画したりすることで、スキー場を身近なものにし、スキーを多くの人から愛されるウィンタースポーツとして育て上げていく必要があるとの見解で一致した。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年9月21日
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