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【中国キーワード】急速な復活遂げる中国のナイトタイムエコノミー 人気のわけは?

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2020年06月02日13:56

都市の夜がまた賑やかになってきた。新型コロナウイルス感染症の対策期間中、長らく閑散としていた街角のあちこちでは、次第に活気が戻っている。商業エリアはより一層賑やかさを取り戻しており、夜間の消費力が発揮されつつある。

ナイトタイムエコノミーの繁栄の度合いは、その都市の経済の開放度や活発度をはかる重要な指標だ。新型コロナウイルス収束後、各地ではナイトタイムエコノミーの促進に力を入れ、オンラインとオフラインの融合が大きなトレンドになり、都市消費と産業発展に活力の源を与えている。

ナイトタイムエコノミーが再開

陝西省西安市の大唐不夜城歩行者天国には、漢民族の伝統衣装である漢服を着てマスクをつけた女性達が楽しそうに自撮り写真を撮っていた。重慶市の洪崖洞景勝区では、グツグツ煮え立った火鍋からいかにも美味しそうなピリ辛の香りが漂っていた。雲南省昆明市の公園1903では、ロックバンドの演奏に道行く人が足を止めていた。このように企業活動や操業の再開が加速的に推進されると、各地は感染症対策をしっかり行うのと同時に、力を合わせてナイトタイムエコノミーを構築し、飲食、観光、買い物、娯楽、スポーツ、展示、パフォーマンスなど多様化したナイトタイムエコノミー市場が再び活発になり、都市に活力を与えるようになっている。

国家発展改革委員会の寧吉■(吉へんに吉)副主任は5月24日に国務院新聞弁公室で行われた記者会見で、「さまざまな措置を取って消費の回復を促進し、新型消費の育成を加速させる。なかでもナイトタイムエコノミーは大いに期待できる」と述べた。

今年のメーデー連休が終わると、微信(WeChat)と美団は共同で「メーデーのナイトタイムエコノミーデータ」を発表し、ナイトタイムエコノミーの角度からメーデー連休の消費状況を考察した。それによると、5月1日から3日までの21時から翌日2時までの時間帯に、全国で微信支付(WeChatペイ)を利用して行われた飲食代のオフライン決済額は前期比447%増加した。

現代型都市が発展を続けるにつれて、人々の生活リズムがますます加速し、特に大都市ではリズムが加速している。昼間忙しく働いた人々は、夜になると「充電」が必要になる。おいしいものを食べ、映画を見たり、夜の観光をしたり、仲間と集まるなど、いずれも疲れた心と体を回復させる手段となっている。

ある意味で、夜のレジャーは多くの人に幸福感をもたらす。夜に心身ともにリラックスすれば、よりエネルギッシュに、創造力を備えた状態で翌日の仕事に臨むことができるからだ。

オンラインとオフラインの融合がトレンドに

ナイトタイムエコノミーの復活はオフラインだけでなく、オンラインでも同様に復活している。

5月になると、オンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」の夜の注文量が全体の33.55%を占めるようになった。今年のメーデー連休には、地図アプリの高徳地図の全国道路網における夜間の渋滞遅延指数は昼間の103.9%に達し、夜の飲食消費や外出も感染症以前の水準に戻ったことがわかる。

微信と美団のデータでは、5月1日から3日までの21時から翌日2時に、中国全土の微信支付で行われた飲食代オフライン決済金額は前期比447%増加し、武漢市民の夜食決済金額は前期比270%増加し、増加率が最も高かったのは烏魯木斉(ウルムチ)市で3月の16倍に達していた。

支付宝(アリペイ)がまとめた統計データによれば、飲食が中心の武漢のナイトタイムエコノミーの活発度はすでに前年同期の90%まで戻り、同市内のミルクティや火鍋、焼肉などの飲食消費はいずれも急増し、販売量は前期に比べてどれも2倍以上増えた。一部の湖北料理や麺の店といった小規模店舗の営業収入は前月の3倍以上に増えた。

夜間の外出や活動は飲食、買い物に限らず、夜の観光もある。データによると、一部の都市はナイトタイムエコノミーが再開しつつあり、厦門(アモイ)、広州、武漢などでは川や海での夜の観光が秩序よく回復している。旅行予約サイトの同程芸竜の船舶チケット予約データをみると、4月以降に厦門や広州などでナイトクルーズが相次いで運航を再開し、ニーズも増加している。たとえば鷺江ナイトクルーズ、珠江ナイトクルーズなどの遊覧船が休日や祝日には特に人気があり、観光客の構成をみると地元の住民か自由旅行の人だった。4月25日夜には、95日間の運航停止期間を経て、武漢両江クルーズが再開した。興味深いのは、関連の洞察報告によると、深夜0時から2時になっても景勝地内で自転車に乗っていた観光客がいたことだ。

ナイトタイムエコノミーはなぜこれほど人気に?

前海開源基金管理有限公司の楊徳龍チーフエコノミストは、「今や消費は経済を牽引する役割がますます高まり、ナイトタイムエコノミーの発展が消費を促進し、国内総生産(GDP)の伸びを後押しするよい方法であることは間違いない。感染症が第1四半期(1-3月)の消費に大きな影響を与えているため、ナイトタイムエコノミーに力を入れることで影響をある程度相殺することができ、ナイトタイムエコノミーは消費の伸びを促進する重要な措置の一つであるばかりか、地元のGDP回復を助けることになる」と述べた。

実際、多くのデータがナイトタイムエコノミーの巨大なポテンシャルを以前から証明してきた。騰訊(テンセント)とシンクタンクの瞭望智庫が共同発表した「中国都市ナイトタイムエコノミー影響力報告2019」によると、中国の消費の60%は夜間に発生し、大型商業施設では毎日18時から22時にかけての売上高が一日の売上高の50%以上を占め、2018年には中国の夜間飲食消費は前年比47%増加した。重慶市では飲食店の売上高の3分の2以上が夜間に発生したもので、広州市ではサービス業の営業収益の55%がナイトタイムエコノミーによってもたらされたという。

中国人民大学応用経済学院の付暁東教授は、「昼間と同じように、夜間も一種の資源であり、そこには巨大な生産力が備わり、人類にとっては心を安らげる時間でもある。中国経済が質の高い発展、新旧の原動力の転換に力を入れるという新たな歴史的タイミングの中で、ナイトタイムエコノミーは巨大な消費のポテンシャルと市場の可能性を内包することから注目を集めるようになった。人々が質の高い生活を追い求めるようになるにつれ、特に自然を愛し深く理解するようになると、夜の時間が人々の生活の中でますます重要な、より注目する部分になった」と述べた。

蘇寧金融研究院の付一夫シニア研究員は、「ナイトタイムエコノミーは都市の発展に積極的意義がある」として、次の4点を挙げた。

「第1に、ナイトタイムエコノミーへの支援を通じて、人々が消費する時間をかなり増やすことができ、さらには都市での飲食、買い物、娯楽、レジャー、観光などのサービス分野での消費ニーズを活性化し、都市の内需を拡大し、さらには関連産業の成長を推進することができる。第2に、こうした取り組みは雇用の増加につながる。ナイトタイムエコノミーは時間のずれを有効に利用するもの、経済活動を行う時間を形を変えて延長するものであり、多くの潜在的労働力に働く機会を与え、働いている人々も夜の時間を利用して、兼業や副業といった形で別の収入源を開拓することが可能になる」とした。

さらに付一夫シニア研究員は、「第3に、ナイトタイムエコノミーの発展水準はやはり都市生活の質、開放度・活発度、投資のソフト環境、文化的厚みをはかる重要な指標であり、ナイトタイムエコノミーを支援することは都市のソフトパワーを向上させることにつながる。第4に、ナイトタイムエコノミーの繁栄は忙しく働く人々に人間関係を維持するシーンを提供し、人と人との心の交流を大きく増進し、お互いがより親密になることができ、都市生活がより調和的で打ち解けたものになる」と指摘した。

上海立信会計金融学院の温建寧准教授は、「感染症の後には、雇用の安定が『6つの安定』の一番最初にくる。雇用が安定して初めて、経済が根本的に安定することができる。各地がナイトタイムエコノミーの促進に力を入れるのは、雇用の安定という目標を貫徹することでもある。資金が流れ始め、経済活動や取引行為の中で流通し、資金を製品やサービスに交換する人もいれば、労働を生きるための金銭に交換する人もいて、経済もこうして徐々に活発になり、基層産業の雇用は保障され、企業活動再開で生まれた製品には行き先が現れてくる。こうした意味から言って、ナイトタイムエコノミーは経済全体を活性化する触媒だ」と述べた。(人民網日本語版論説員)

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「人民網日本語版」2020年6月2日

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