煮洗い、アルコール消毒、紫外線照射…ウイルス対策マスクの再利用は可能か?

人民網日本語版 2020年02月03日13:44

ウイルス流行の持続的な拡大に伴い、市場ではN95(KN95)、サージカルマスクなどのウイルス対策マスクが依然として不足しており、多くの家庭ではマスクが底をつこうとしている。そこでネット上では、使用済みマスクを蒸したり煮洗いする、紫外線を照射する、アルコールで消毒してから乾かすといった再利用方法が出回っている。科技日報が伝えた。

筆者はこれについて、教育部(省)産業用紡績品工程センター副センター長、東華大学非績造材料・工程学部の靳向煜教授を取材した。靳氏はSARS流行時の「SARSウイルス対策紡績品開発」プロジェクトを担当していた。

「新型コロナウイルス感染による肺炎の診療案(試行第4版)」によると、「56度・30分」で効果的にウイルスを撲滅できるが、蒸す、もしくは煮洗いすることでマスクを再利用できるだろうか。

靳氏は「これは不可能だ。N95もサージカルマスクも、ウイルス対策の手段はフィルターによるウイルスなどの微粒子(煙霧質)の吸着・遮断となっている。フィルターは主にPPメルトブローン超極細繊維でできている。マスクのフィルターはエレクトレット処理を受け、微量の電荷を帯びるようになる。これによりふわふわとした状態で、効果的に空気中の各種微粒子を吸着できる」と指摘した。

蒸すにせよ煮洗いするにせよ、水が入ることでフィルターの電荷が急速に失われ、ろ過効果が大幅に低下することは間違いない。またPPメルトブローンは非常に細く、髪の毛の十数分の一ほどで、平均2ミクロン前後しかない。高温に弱く、温度が80度を上回ると収縮・変形を起こし、構造が破壊され、防護効果が低下する。

「新型コロナウイルス感染による肺炎の診療案(試行第4版)」によると、75%エタノールでウイルスを効果的に撲滅できる。それでは使用済みのマスクをアルコール消毒し、乾かしてから再利用することは可能だろうか。

靳氏は「それはできない。まず、サージカルマスクと医療用N95マスクの外側の表面には耐水処理が施されており、アルコール、水、血液、唾液などが浸透しにくい。これは医師への保護を強化し、患者との接触における液体噴射による双方向の感染を防止するためだ」と説明した。

そのため表面にアルコールを塗布・スプレーしても、医療用マスクの内部で消毒作用を発揮しにくい。一方で、アルコールはマスク外層の防水構造を破壊する。これはアルコールの表面張力が水と大きく異なるからだ。アルコール処理を受けたマスクの材料は水(血液、唾液)を吸収しやすくなり、フィルターの効果の低下が加速する。

「新型コロナウイルス感染による肺炎の診療案(試行第4版)」によると、ウイルスは紫外線に敏感だ。紫外線ランプや紫外線消毒庫などを使いマスクを消毒すれば、再利用が可能なのではないだろうか。

靳氏は「それは不可能だ。PPメルトブローンは熱可塑性高分子材料で、耐熱老化性が低く、紫外線に非常に敏感だ。紫外線照射を受けると、構造が破壊され酸化分解が生じ、ろ過の性能が大幅に低下する」と述べた。

研究チームは、N95クラスのマスクの蒸し洗い、紫外線ランプによる消毒の実験を行った。ろ過効率は95%から急速に60%以下に低下し、一般的なガーゼやコットンのマスクと同等になった。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年2月3日

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