人を含む哺乳類は、急な音声もしくは触覚の刺激により驚きの反射が誘発され、「びっくり」する。中国科学技術大学の熊偉教授のチームは研究により、蝸牛神経核―尾側橋網様核―脊髄運動ニューロンという神経回路が、哺乳類の「びっくり」の反応に対して重要な力を発揮することを明らかにした。これは本能的な防御行為の神経メカニズムへの認識を深め、人類の外傷後ストレス障害やパニック障害などの疾患の研究に新たな方向を示した。新華社が伝えた。
驚きの反射は哺乳類の全ライフサイクルに存在する。各部位の筋肉の収縮反応によりとっさにこの反射を生じさせることで、目や後頭部といった負傷しやすい部位を保護し、さらなる回避や逃走など防御反応に向け準備を整える。驚きの反射は重要な本能的な防御行為であるが、この反射をコントロールする基本的な神経回路はこれまで明らかになっていなかった。
熊氏のチームは研究により、音声により驚きの反射が誘発されると、哺乳類の脳幹に位置する尾側橋網様核のグルタミン酸作動性ニューロンが活性化されることが発見された。研究者は光遺伝学及び化学遺伝学の手段を用い、特異性「活性化ニューロン」がマウスの飛び跳ねる動きを誘発し、頸部及び後ろ足の筋肉も同時に脳波の活動に記録されることを発見した。これは典型的な驚きの反射となる。特異性「抑制ニューロン」はマウスの驚きの反射を抑制でき、かつ運動の協調、歩く姿勢、感覚や知覚などその他の行為には影響を及ぼさない。
チームはその後、ウイルストレーサーの手段により、グルタミン酸作動性ニューロンは蝸牛神経核から興奮性を直接投射され、かつ脊髄運動ニューロンとの間に直接的な神経連鎖を持つことを発見した。さらなる実験の結果により、グルタミン酸作動性ニューロンが蝸牛神経核の働きかけを受けると、これを脊髄運動ニューロンに直接投射し、最終的に頸部及び四肢の筋肉の制御を完了することが分かった。
この研究論文はこのほど、国際的に権威ある学術誌「ネイチャー・コミュニケーション」に掲載された。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年11月9日