国際スキー連盟アルペン委員会の会長で、9大会連続で冬季五輪のアルペンスキー会場のデザインを担当したバーンハード・ルーシー氏は5日のメディアブリーフィングで、北京冬季五輪のアルペンスキー会場の雪質について、「私はコースのデザイナーで造雪の専門家ではないが、(アルペンスキーの)コースの雪質は非常に完璧で、これ以上はないと言える」と述べた。科技日報が伝えた。
称賛を受けたスキー会場はどのように作られたのだろうか。自然の雪を直接用いることができるのだろうか。自然の雪は基礎に過ぎず、人工造雪が鍵を握るというのがその答えだ。
競技によって雪質の要求が異なるため、自然の雪が十分にあっても人工的に作る必要がある。そのため人工造雪は高品質のコース作りで鍵を握ることになる。人工造雪技術はすでに数十年発展しており、80年代にすでに応用され始めていた。トリノ冬季五輪、バンクーバー冬季五輪、ソチ冬季五輪、平昌冬季五輪で大量の人工造雪が用いられた。
北京冬季五輪も例外ではない。延慶ゾーン、張家口ゾーン、ビッグエア首鋼では人工造雪が使用された。「ただ、雪の出処については循環利用をさらに強調した」。北京冬季五輪造雪チーム中国側責任者を務める張家口ゾーン古楊樹会場山間部運営マネージャーの魏慶華氏はこのように述べた。
魏氏は取材に、「人工造雪は水が雪に変化する物理プロセスだ。会場の雪が溶けた後、貯水設備によりこの水を貯め、沈積や濾過の後に再び造雪する。そして造雪中にその他の添加物を加えることはないため、集めた雪解け水はさらに景観緑化と農業灌漑に使用でき、循環利用の効果が達成される」と述べた。
会場でなるべく少ない水資源でなるべく多くの高品質コースを作るためには、さらにより直接的な方法がある。それは貯雪だ。つまり冬の雪を貯蔵し、高温の夏をしのぎ、翌冬に再利用することだ。
これは決して空想ではない。ルーシー氏はブリーフィングで、「中国の状況は知らないが、欧州ではここ数年、春になると雪をできるだけ一ヶ所に積み重ね、これに覆いをかぶせ保管する。こうすることで前シーズンの30−50%の雪を貯蔵し、冬に再利用する」と述べた。
国家重点研究開発計画「テック冬季五輪」特定プロジェクト「競技用雪保証キーテクノロジー研究・応用モデル」のサポートを受け、中国の科学研究チームも貯雪技術及び設備の研究開発を完了した。中国科学院西北生態環境資源研究院の王飛騰氏のチームは2017年に、北京冬季五輪組織委員会が延慶石京竜スキー場で行った貯雪試験の全過程に参加した。夏を通しての「試練」を経て、およそ60%の雪が貯蔵できた。
張家口ゾーンは2021年11月、30センチの降雪を迎えた。張家口ゾーンはこの雪を利用し造雪作業を開始した。自然の雪を基礎として使用し、大量の自然の雪を貯蔵してから人工造雪を行い、雪資源の高効率の利用を実現した。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年2月7日