一旦延期された米国・ASEAN首脳会議が12日から13日にかけて米ワシントンD.C.で開催された。米国はこの機会を利用して、中国を封じ込めるいわゆる「インド太平洋戦略」を売り込むと同時に、ロシア・ウクライナ紛争などの問題でASEAN諸国に圧力をかけた。米国の中国抑止と反ロシアの企て、そして覇権的行為は、東南アジアの少なからぬ国々の警戒と拒絶を招いた。新華社が伝えた。
米国が中国を念頭に打ち出したいわゆる「インド太平洋戦略」は、地域の「自由と開放」の維持、地域問題におけるASEANの中心的地位の尊重を主張する一方で、「AUKUS」や「クアッド」を通じて閉鎖的・排他的な地政学的「小集団」を構築し、地域諸国間の対立や対抗を扇動し、ASEAN中心の地域協力枠組に打撃を与え、ASEAN内部の団結を壊し、地域の協力と発展を深刻に脅かすものだ。その背後にある覇権維持という利己心を、ASEAN諸国はとっくに知っている。すでにマレーシアとインドネシアは「AUKUS」について、地域の軍拡競争を引き起こす可能性を公に警告した。
米国は最近、「インド太平洋戦略」の「欠陥」を補うべく、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を鼓吹し続けている。しかし、米戦略国際問題研究所(CSIS)の調査によると、少なからぬASEAN諸国は、この枠組みにおいて米国が「提供する」ものよりも「要求する」もののほうが遥かに多いことを懸念し、この枠組みが単純な経済協力イニシアティブではなく、米国の利益実現のための政治工作であるのではないかと疑問視している。
今回の会議のもう1つの目的が、ロシア・ウクライナ問題でロシアへの圧力を強めることだった。ロシア・ウクライナ紛争の勃発以来、米国はASEAN諸国に対露非難・制裁への参加を要求してきたが、地域の大多数の国々はこれに応じてこなかった。ASEAN諸国は自主独立の外交方針を堅持し、現在の危機について対話と交渉による解決を積極的に呼びかけ、米欧主導の対露国連決議案の採決でも自らの立場を表明してきた。米国がロシア・ウクライナ紛争について、エスカレートする前から焚き付け、エスカレートした後も火に油を注いだことで、紛争を扇動した後に漁夫の利を得るその手口に、少なからぬASEAN関係者が警戒を抱くこととなった。
自ら仕掛けた地域対立への参加と地政学的「陣営選択」を地域諸国に強要する米国のやり方は、各国との良好な関係の維持、地域の平和と安定の維持、持続的な経済発展の実現というASEAN諸国の願いと相反するものだ。貿易戦争を仕掛け、国際条約を破棄し、国際機関から脱退するといった米国の一国主義的行為は、地域の正常な貿易関係やサプライチェーンと産業チェーンの安定に深刻な影響を与え、多くのASEAN諸国の経済にも打撃を与えるものだ。しばらく前から米国の示してきた冷戦思考と様々な覇権的行為は、とうにASEAN諸国の警戒を招いており、自国の利益のために他国を犠牲にするというやり方は各国の支持を得られず、米国が維持しようと努力する覇権の衰退を加速させるだけだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年5月18日