バイデン米大統領は就任後初の「アジア歴訪」を間もなく開始する。5月20日から24日にかけて韓国と日本を相次いで訪問し、両国首脳とそれぞれ二国間会談を行う。今回の「アジア歴訪」では、米国主導の「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足と関連事項が日程に上ると専門家は予測する。
■IPEFとは? 米国の目的は?
IPEF構想は、バイデン大統領が2021年10月の東アジアサミット出席時に初めて提唱したもので、要求に適応した多国間パートナーシップの構築を主張している。報道によると、「米国のインド太平洋戦略」報告書はIPEFについて、高水準の貿易の促進、デジタル経済の管理、サプライチェーンの柔軟性と安全性の強化、透明で高水準のインフラ投資の促進、デジタル・コネクティビティの構築を目指すものだという。
米国がIPEFを提唱する目的は何か。ブルームバーグなど海外メディアの報道によると、レモンド米商務長官は以前、この「新しい経済枠組み」には、「敏感な」製品の対中輸出を制限するための輸出規制調整も含まれると述べた。タイ米通商代表はIPEFが「中国から独立した取り決め」であることを公言した。
中国国際経済交流センター戦略研究部の張茉楠研究員は「米国はIPEFの助けを借りて中国との『デカップリング』を実現するとともに、現有の条件でさらに多くの経済・貿易パートナーを取り込み、サプライチェーンの代替を探すことを望み、さらに他の国々を抱き込んで対中『包囲』を形成し、地域の貿易システムから中国を排除しようとしている。IPEFは、かなりの程度において、すでに地政学的経済構想であり、既存の米国の『インド太平洋戦略』と完全に符合し、補完し合うものだ。米国はIPEFを利用して、経済的柱を欠くという『インド太平洋戦略』の欠陥を補足し、『軍事的圧力』を掌握するとともに、『経済的圧力』を振るうことを望んでいる」と指摘する。
■中国外交部「アジア太平洋は地政学の『チェス盤』ではない」
中国外交部(外務省)の趙立堅報道官はこのほど米国のIPEFについて、「アジア太平洋におけるいかなる地域協力枠組みも、平和と発展という時代の潮流に沿ったものであるべきだ」と指摘した。
趙報道官は「中国は、アジア太平洋におけるいかなる地域協力枠組みも、平和と発展という時代の潮流に沿い、地域諸国間の相互信頼と協力を増進し、開放・透明・包摂・平等・相互尊重・相互信頼・互恵という理念を体現し、主権尊重と内政不干渉の原則を堅持すべきだと考えている。アジア太平洋は協力と発展を図る地域であり、地政学の『チェス盤』ではない。中国は各国と共に、開放・協力、互恵・ウィンウィンという趣旨を堅持し、冷戦思考の小集団を拒絶し、アジア太平洋協力の大きな舞台を共に築くことを望んでいる」とした。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年5月18日