「もし合肥で収入がなくなって困った時には、うちの店に来て、カウンターの店員に『1人前セット』を注文してください。食事が終わったらそのままお帰り下さい。代金のことはお気になさらずに」。こんな心温まるメッセージが、安徽省合肥市廬陽区固鎮路にある朝食店の入口に掲示されている。新華網が伝えた。
この小さな食堂を営んでいる孫玉喜さん・王素侠さん夫妻は、何年も郷里を離れて出稼ぎをしてきた。2015年、2人は貯めたお金で合肥にこの店をオープン。自分たちが出稼ぎをしていた頃の苦労を思い返し、暮らしに困ったり、手持ちのお金がなくなってしまったりした人たちに、店内で食事を無償で提供することにした。
「『1人前セット』の内容は決まっていない。包子(中華まんじゅう)や油条(揚げパン)、米餃(米粉で作った餃子)、お粥などからお客さんに選んでもらい、満腹になるまで食べてもらう」と話す王さんは、「『1人前セット』は『合言葉』のようなもの。これなら、必要とするお客さんが恥ずかしい思いをしなくて済む」と続けた。
この店で無料で食事をした人は、数年間で数百人に上る。「私たちは見返りなど望んでいない。ただ、食事をした人たちが経済力をつけたら、今度は他の人を援助してほしいだけ。そうして思いやりの心が伝わっていけばと願っている」と夫妻は話している。(編集KM)
「人民網日本語版」2022年9月9日