開催中の中国の両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議)は、世界の投資家と企業に向けて中国が質の高い発展を推進することでもたらされる3つのチャンスを明らかにしている。
「5%前後」の成長率目標が新たな発展サイクルのスタートを示す
2023年の中国の経済成長率目標は5%前後だ。
今年2月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.6%で、2ヶ月連続の景気拡大局面となった。世界銀行、国際通貨基金(IMF)、フィッチ・レーティングス、モルガン・スタンレー、ムーディーズなどの国際機関は、今年の中国経済成長率予測を相次いで上方修正し、中国経済は全面的に回復して非常に大きな「スピルオーバー効果」を生み出し、グローバル経済成長を牽引するメインエンジンの役割が顕在化するだろうとの見方を示した。
中国人民政治協商会議第14期全国委員会(全国政協第14期)の委員を務める中国社会科学院世界経済・政治研究所の張宇燕所長は、「IMFの今年1月末の報告では、昨年10月時点での予測データと比較して、世界の成長率を0.2ポイント、中国の成長率を0.8ポイント、それぞれ引き上げている。中国経済の安定回復は、世界経済の振興にとって重要な意義があり、中国はこれからも世界経済の主要な「安定化装置」であり、動力源であり続けるだろう」と述べた。
「中国の大市場」の効果がより顕在化
海外メディアが注目するのは、中国が新型コロナウイルス感染症対策の最適化・調整を行なってから、世界のトップレベル消費財ブラントとぜいたく品ブランドの中国での売り上げがこぞって増加したことだ。
売り上げが伸びたのは決して世界のトップブランドだけではない。今年に入ってから、中国の消費市場は目に見えて回復し、旅行、飲食、映画などの業界の回復ぶりが目立ち、活気が戻ってきた。多くの都市では、飲食店の前に長い行列ができ、鉄道駅では肩が触れあうほど大勢の人で混み合う光景が再び現れた。
規模の巨大な中国消費者層の台頭につれて、中国に進出した外資系企業は中国市場から長年にわたって恩恵を受けてきた。全国政協委員を務める商務部(省)国際貿易経済協力研究院の顧学明院長は、「中国の消費が安定的に回復し、対外開放レベルが徐々に上昇するのにともなって、『中国の大市場』の効果がより一層顕在化することになる」と指摘した。
外資により大きなチャンスをもたらす「中国式現代化」
昨年末に行なわれた中央経済政策会議に続いて、今年の政府活動報告でも「外資の誘致・利用により力を入れる」ことが取り上げられ、市場参入の拡大、外資系企業への内国民待遇の着実な実施、外資系企業へのサービス業務の着実な実施などの措置をそれに合わせて実施するとされた。
外資系企業は中国が年初に発信した重要なシグナルを敏感にキャッチした。
最近、マクドナルド、スターバックス、バドワイザーAPACなどの多国籍企業が、「引き続き中国事業を拡大する計画」であることを発表した。
華南米国商会が2月末に発表した報告では、調査に回答した企業の90%以上が「中国を最も重要な投資先と考えている」とし、75%が「2023年に中国で追加投資を行なう計画だ」と明らかにした。
昨年の中国の実行ベース外資導入額を比較可能なデータで計算すると、前年比で6.3%増加し、外資誘致規模は再び過去最高を更新した。
第14期全国人民代表大会(全人代)の代表を務める上海社会科学院党委員会の権衡書記は、「中国は中高速成長を維持し、質の高い発展に向かって前進するとともに、さらに外資の誘致・利用により大きく力を入れ、制度型の開放を安定的に拡大していく。各国は中国の質の高い開放の制度的メリットの恩恵を受けることになり、中国式現代化プロセスの中で外資系企業にはより大きなチャンスがもたらされるだろう」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年3月8日