公園で中国の気功法である「八段錦」や五禽戯、太極拳をしている人というと、高齢者を想像する人も多いだろう。しかし、多くの若者が集まるあるオンライン動画プラットフォームを見ると、中国国家体育総局版の八段錦の動画の再生回数が1000万回を超えている。新華網が報じた。
中国の90後(1990年代生まれ)や00後(2000年以降生まれ)の若者は近年、オンラインで気功や太極拳の練習をしたり、コツや感想を語り合ったりして、伝統文化に「回帰」している。そして、若者たちは新しいスタイルで、伝統武術や健康を保つ気功を楽しんでいる。
孫宇軒さん(21)は幼い頃から父親に太極拳を学び、今は寧夏大学体育学院で武術・民族伝統スポーツを専攻している。
始めは「気功や太極拳って公園で高齢者がするものでしょ?」と笑いながら話す人が多かったというが、「今では私と同年代の若者が一緒に練習するようになった」のだという。孫さんは、伝統武術に対する多くの人の固定概念が少しずつ打破されていることを感じているという。
服飾デザイナーの「90後」である姜西さんは昨年末から、八段錦を学び始め、SNSに動画を定期的にアップしている。そして、わずか4-5ヶ月の間に、フォロワーの数は1万人以上に。彼女のプロフィールのデータを見ると、フォロワーのほとんどは20歳から30歳までの若者となっている。
姜さんは、「八段錦を練習する時は、自分の身心のことだけに集中できる。ゆっくりとした動き、心地良いリズムが、大都市において一人で奮闘する不安な気持ちを和らげてくれる」と語る。
姜さんの影響で、子供の頃から武術を学ぶ兄の姜南さんも余暇の時間を使い、「八段錦」のブログを始めたという。
友人と一緒に海辺で八段錦を練習する姜南さん(写真左から2番目)。
広東省広州市暁港公園では毎週、若者たちが、湖の近くに植わっている木々の木陰を利用して、2人が向き合って相手の動きを見極める「太極推手」の練習している。このグループの発起人である馮俊華さんは、中国伝統の武術や気功をこよなく愛する若者たちを集めたのだという。
公園の中の快適な空間で、リラックスするというのは、「お金もかからず人間関係に悩むこともない。それが、大都市の若者の間で人気になっている理由」としている。
中国伝統の気功は現在、中国だけでなく、海外の若者の間でも人気となっている。
劉嘉男さん(31)は、大学に通っていた時に中国伝統の武術に夢中になり、「武当拳法」発祥の地である湖北省・武当山に行って学んだ経験もあるほどだ。その後、アラブ首長国連邦で中国語の講師をしていた時に、意気投合した友人数人と、ドバイでボランティアの武術教室を開き、たくさんの人に武術を教えたという。
そして、2020年のドバイ国際博覧会で、劉さんたちは中国館からの要請を受け、中国武術や太極拳、気功の実演を行った。
優れた中華伝統文化は、若者の継承を必要としている。そして、若者は変化する今の世界において、心を落ち着かせることのできる場所を探しており、気功や太極拳を通して、伝統文化がもたらす心の癒しを感じている。
それは、心地よく、自由な本来の自然な状態に戻るライフスタイルであると同時に、伝統文化と若者が「肩を並べて」未来へと向かう道のりでもある。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年3月6日