中日の若者たちが迎える新たな時代 北京第二外国語学院日本語学院第42回演劇大会

人民網日本語版 2025年05月30日10:42

北京市内の北京第二外国語学院で27日午後、同学院の日本語学院で学ぶ学生たちによる日本語の演劇大会が行われた。人民網が伝えた。

北京第二外国語学院日本語学院2025第42回演劇大会の参加者、運営関係者の集合写真(写真提供・北京第二外国語学院)

北京第二外国語学院日本語学院2025第42回演劇大会の参加者、運営関係者の集合写真(写真提供・北京第二外国語学院)

同大会は1979年から行われている伝統あるイベントで、今回で42回目の開催となる。今回の大会は「迎える――万象の新生を迎え、時代の共鳴を呼び起こす」をテーマに掲げて実施された。

当日は在中国日本国大使館の金杉憲治大使も出席して挨拶を行い、「日中の将来を担う若い世代の交流が重要であると考え、青少年交流や教育交流の現場を自らの目で見るということから、多くの大学を訪問している。皆さんのような、日本語や日本文化を学ぶ若い方々が、将来の日中の交流において果たす役割は大変大きなものがある」と話し、学生たちに対する期待を示した。

挨拶する在中国日本国大使館の金杉憲治大使(写真提供・北京第二外国語学院)

挨拶する在中国日本国大使館の金杉憲治大使(写真提供・北京第二外国語学院)

今回の演劇大会では、「マイ・フェア・レディ」(大学院通訳コース一年生)、「君しか知らない」(学部二年1組)、「大阪廻戦・中日交流編」(学部三年2組)、「お菓子いい物語」(学部二年3組)、「宮廷の諍い女」(大学院一年生)の5作品が上演された。

大学院通訳コース一年生の作品「マイ・フェア・レディ」(写真提供・北京第二外国語学院)

大学院通訳コース一年生の作品「マイ・フェア・レディ」(写真提供・北京第二外国語学院)

大学院通訳コース一年生の「マイ・フェア・レディ」は、発音やなまりの矯正という難しいテーマに挑戦した意欲作。外国語である日本語で言葉遣いや態度の悪さ、なまりを表現するのは容易なことではないが、努力の成果がしっかりと表れていたように思う。

学部二年1組の作品「君しか知らない」(写真提供・北京第二外国語学院)

学部二年1組の作品「君しか知らない」(写真提供・北京第二外国語学院)

学部二年1組の作品「君しか知らない」は、記憶喪失になった少女が、クラスメートや弟、親友が話す「過去の自分」がまったく違う性格であることに戸惑いつつ、やがて「今の自分」として新たな人生を歩む決意を固めるという物語。短い時間の中で、完結した作品としてうまくまとまっていた。日本語学習の成果発表という枠を超え、演技を通じて脚本のメッセージを伝えようとしており、今回の作品の中で最も「演じる」領域に達している作品だと感じた。

学部三年2組の作品「大阪廻戦・中日交流編」(写真提供・北京第二外国語学院)

学部三年2組の作品「大阪廻戦・中日交流編」(写真提供・北京第二外国語学院)

学部三年2組の作品「大阪廻戦・中日交流編」は、漫画やアニメで大人気の作品をベースに、会場を現在開催中の大阪・関西万博に設定し、中国人留学生というオリジナルキャラクターを登場させ、中日交流というテーマを学生らしい視点で表現した。

学部二年3組の「お菓子いい物語」(写真提供・北京第二外国語学院)

学部二年3組の「お菓子いい物語」(写真提供・北京第二外国語学院)

学部二年3組の「お菓子いい物語」は、様々な漫画・アニメ作品などへのオマージュをふんだんに盛り込み、ユーモアあふれる脚本とコミカルな演技で会場を笑いの渦に巻き込んだ。高いエンターテインメント性で観客に楽しさを届けた。

大学院一年生の作品「宮廷の諍い女」(写真提供・北京第二外国語学院)

大学院一年生の作品「宮廷の諍い女」(写真提供・北京第二外国語学院)

大学院一年生の作品「宮廷の諍い女」は、歴史ドラマ特有の難しい言葉やセリフ回しが多い清朝宮廷劇を日本語で演じたチャレンジングな作品。難しい言葉や言い回しを覚えて話すだけでも大変な苦労があったのではないか。衣装の華やかさも目を引いた。

厳正な審査の結果、一等賞は学部二年3組の「お菓子いい物語」、最優秀男優賞は「お菓子いい物語」で勇者を演じた凌佳瑩さん、最優秀女優賞は学部二年1組の「君しか知らない」で記憶喪失の少女を演じた肖涵さんがそれぞれ受賞した。

学生たちの日本語は、一部の難しい語彙を除き、字幕を頼りにすることなく自然に聞き取れるレベルに達していた。特に二年生や三年生など学部生のレベルが高く、日本語を学び始めてまだそれほど年数が経っていないことを考えると、日ごろの努力のほどがうかがえた。また、司会進行役を務めた学生たちの日本語レベルの高さには、今年も舌を巻いた。日本語のネイティブスピーカーでも、正しく美しい日本語で格調高い司会を行うのはそう簡単なことではない。学生たちの努力と指導にあたった教員の熱意に敬意を払いたい。

日本の漫画・アニメ作品を下敷きにした作品が多く見られたのは例年通りだったが、今年は「大阪廻戦・中日交流編」がオリジナル作品の登場人物や設定を用いつつも、学生らしい視点で新たなアレンジを加えてあり、「お菓子いい物語」でも、多くの日本の作品へのオマージュが散りばめられており、日本のコンテンツが中国の若者たちに深く浸透していることを改めて感じた。一方で、中国のドラマ作品である「宮廷の諍い女」も日本で放送され、日本人ファンも多いと聞く。近年では、中国発のアニメやドラマ、映画などが日本でも放映・上映される機会が増えている。中日の若者たちが互いの国のコンテンツを見て育ち、双方のコンテンツが「共通言語」として相互理解の架け橋になる未来はすぐそこまで来ているのかもしれない。そんな中日の若者たちが迎えつつある未来に思いをはせながら、北京第二外国語学院のキャンパスを後にした。(文・勝又あや子)

「人民網日本語版」2025年5月30日

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