世界媽祖文化フォーラム10周年 千年にわたり媽祖精神を伝える福建・莆田

人民網日本語版 2025年10月21日15:56

莆田市湄洲島にある媽祖像(写真提供・湄洲島国家観光レジャー区)。

莆田市湄洲島にある媽祖像(写真提供・湄洲島国家観光レジャー区)。

福建省莆田市は沿海地域中部にあり、北は省都の福州市、南は「世界遺産の都市」泉州市に接し、南東は台湾海峡を挟んで台湾地区を望み、台中市からはわずか72海里(約133キロメートル、1海里は1852メートル)ほどの距離となる。

この山を背にし、海に面した「国家歴史文化名都市」の莆田は、「立徳、行善、大愛」を敬う媽祖の精神を千年にわたり伝承してきた。世界媽祖文化フォーラムがここで開催されるようになって今年で10年目を迎える。

媽祖は本名を林黙といい、西暦960年に莆田で生まれた。西暦987年に漁民を助けるために命を落とし、後世はその「立徳、行善、大愛」の精神を敬い、尊敬の気持ちを込めて「媽祖」と呼ばれるようになった。

毎年中国内外から莆田市湄洲島に媽祖像の参詣に訪れる媽祖を信仰する人々(撮影・林盈)。

毎年中国内外から莆田市湄洲島に媽祖像の参詣に訪れる媽祖を信仰する人々(撮影・林盈)。

科学技術が発達していなかった古代社会において、船員たちは出航に先だって神仏に祈りを捧げ、航海中の安全を祈願していた。媽祖は船員たちが祈りを捧げる東方の「海上の女神」だった。

西へ東へ、そして南へ北へ、莆田発祥の媽祖文化は急速に四方へ広がり、「海のあるところには中国人がおり、中国人がいるところには媽祖文化がある」ようになった。

こうして次第に多くの中国人が媽祖文化を世界各地へ広めていった。統計によると現在、世界50ヶ国・地域にさまざまな時代の媽祖廟が約1万1000ヶ所あり、媽祖を敬う人の数は中国内外で3億人を超えるという。2009年には媽祖信仰がユネスコの世界無形文化遺産に登録された。

2016年、中央政府の承認を受け、文化・観光部(省)、自然資源部、中国社会科学院、澳門(マカオ)特別行政区政府、福建省人民政府が共催する世界媽祖文化フォーラムが開催され、媽祖文化を伝え、広める重要な国際的プラットフォームになった。

前回の世界媽祖文化フォーラムの会場の様子(撮影・林盈)。

前回の世界媽祖文化フォーラムの会場の様子(撮影・林盈)。

現在、莆田は同フォーラムをよりどころとして「媽祖の輪」を中国内外で持続的に拡大し、媽祖文化の世界への発信・伝達をさらに推し進め、民心の通じ合いと文明の相互参考を促進し、人類運命共同体の構築をサポートしている。

「運命を共に・和合共生」をテーマとする今回の第10回媽祖文化フォーラムは、10月31日から11月2日まで行われ、メイン会場は莆田市の湄洲島に設置され、サブ会場が中国国内外に設置される。会期中、第27回湄洲媽祖文化観光フェスティバルも同時開催され、媽祖文化をめぐる交流と民俗を体験する旅を融合させる。

今年7月に行われた2025世界人工知能大会では、中国気象局が発表した国民向け早期防災警報システムの中国の案「媽祖(MAZU)」が国際社会で広く共感を呼び、「海上の女神」媽祖は世界の気候変動を大きな背景として、国の枠を超えて自然災害を防ぐ新たな使命を帯びるようになった。

媽祖文化が提唱する慈愛、平和、包摂といった理念は、平和と発展、社会の調和の促進において深い意義を持つ。これは衆目の一致するところだ。(編集KS)

「人民網日本語版」2025年10月21日

注目フォトニュース

関連記事