外国人観光客の訪中が「観光名所巡り」から「ディープな体験」へと変化

人民網日本語版 2026年07月31日15:04

浙江省横店では、スウェーデン人観光客が中国の伝統衣装をまとい、明・清代の宮殿を再現した赤い壁の前で足を止めていた。山西省大同では、米国人観光客が地元の朝市で職人から生地のこね方を習い、傍らではおじさんが方言を通訳してくれていた。上海の広場では、韓国人観光客が中国の高齢女性たちと一緒に広場ダンスを踊り、くるくると回りながら笑い声が響いていた。

「名所巡りの観光」から「暮らしに溶け込む旅」へ、「観光客目線」から「地元目線」へ。インバウンド観光は今、「中国を見る旅」から「現地の人のように暮らす旅」へと変化しつつある。

国家移民管理局のデータによると、2026年上半期の外国人入国者数は前年同期比20.4%増の延べ2291万4000人となった。このうちビザ免除政策を利用して入国した外国人の数は延べ1781万5000人と全体の77.7%を占め、前年同期比30.6%増加した。

入国者数が増え続けると同時に、旅行スタイルにも大きな変化が見られている。民泊予約サービス「途家」のデータでは、外国人観光客の平均宿泊日数は2.8日と前年同期比約10%増加し、さらに夏季には4.7日に達して、中国人観光客を上回った。

外国人観光客が「写真を撮って終わり」の旅では満足しなくなったのはなぜか。北京第二外国語学院観光科学学院の唐承財教授は、「3~5年前と比べて最も顕著な変化は、有名観光地に集まり、駆け足で写真撮影をして回るスタイルから、没入型の現地の生活をディープに体験するスタイルへと好みが移ったことだ」と分析している。

そして、「具体的には、工房で職人と一緒に工芸品を作ったり、地元の市場を巡って値段交渉をしたり、さらには地元の人のようにスマホをかざして地下鉄に乗ったり、自動運転車を体験したりすることを、より望むようになってきている」とした。

歴史と文化が豊かな都市では、没入型観光によって「歴史」が「参加できる物語」へと変わりつつある。

陝西省西安市や河南省洛陽市では、古代風の街並みにキャストを配置し、観光客は漢服を着て市場を散策して、まるで唐代へタイムスリップしたかのような体験を楽しめる。四川省成都市では、蓋碗茶の試飲、伝統芸能・川劇の変臉、四川料理作りをパッケージ化した没入型商品「スローライフ」を提供。山西省では、人気ゲームIPを活用し、古建築見学と修復作業の見学を組み合わせることで、海外からの研修・学習目的の旅行者を引き付けている。このように地域文化の核心を掘り起こし、静的な歴史を参加型のインタラクティブ・プロジェクトへと変えている。

「景徳鎮の手工芸磁器産業遺産群」が先ごろ、正式にユネスコの世界遺産に登録され、世界遺産における「磁器」の空白が埋められた。世界的な文化ブランドが、外国人観光客に唯一無二の没入型体験を提供している。古窯民俗博覧区には、タイやマレーシア、韓国などからのツアー客が絶え間なく訪れ、「磁器手作りを見学し、歴代の磁器窯を巡り、優れた磁器の趣を知る」ことで、その独特な魅力を没入的に体感している。

唐氏は、「地域文化の核心を深く掘り起こし、静的な歴史を観光客が手を動かして参加できるプロジェクトへと変えることで、文化をガラスケース越しに眺める展示品ではなく、手に触れ、持ち帰ることのできる思い出にしている。同時に、国際化したスムーズなサービスをセットにし、解説・決済・接客の各段階でバリアフリーを実現することで、観光客は体験そのものに集中できるようになる」としている。

没入型体験は観光地にとどまらず、中国の都市生活の細部にも広がっている。

イタリア人留学生のルカさんは上海での体験について、「最も忘れがたいのは外灘の夜景ではなく、アパートの高齢の夫婦。言葉は通じなかったが、上海ならではの人情を感じた」と語る。路地裏探訪や旧市街散策、市場での値切り、広場ダンスなど、外国人観光客はごく日常的な場面を通じて、中国のありのままの姿に触れている。

ロシア人観光客のエリザベータさんの中国旅行は、黄山、無錫、南京、澳門(マカオ)、香港、広州、蘇州、烏鎮、三亜、北京を巡った後、河南省登封市の塔溝武術学校に1ヶ月滞在するという、少し変わった軌跡を描いた。

「私にとって中国旅行は観光地を見るためでも、SNS向けの名所巡りをするためでもない。茶館のおばあさんが私に微笑みかけてくれて、まるで知り合いのように感じた。新しい友人も、長い付き合いのように感じさせてくれた。私は窓の外から眺める観光客ではなく、ここでの生活に融け込んだのだと感じた」とエリザベータさん。

河南省登封で武術を学ぶエリザベータさん(本人提供)。

河南省登封で武術を学ぶエリザベータさん(本人提供)。

都市から離れた農村でも、別の形の没入型体験が広がっている。

イタリア人観光客のマッティアさんは、浙江省寧海県前童古鎮の「長卓宴(長いテーブルに料理を並べた宴会)」に参加し、「こうした県都や農村には、中国の伝統と現代の美が凝縮されている。観光客向けのパフォーマンスではなく、現地の人々のリアルな生活だった」と感慨深げに語った。

唐氏は、「都市から古い村や鎮へと広げ、古民家宿泊や農業体験などの農村スローツーリズムを展開することで、インバウンド観光客は中国の農村生活に真に融け込み、中華農耕文明を体感できるようになる。また、グルメが好きな人には地元の人と早朝の市場を巡る体験、歴史的建築物が好きな人には専門家について唐・宋代の木造建築の木組み構造を見学する体験、伝統文化が好きな人には1週間を費やして現地の人から伝統工芸を学ぶ体験など、ターゲットを細分化したディープな商品を用意する。観光客の目が肥えれば肥えるほど、よりきめ細やかにし、観光客の多様なニーズを熟知しなければならない。そうすれば『この旅は来た価値があった』と感じてもらえるだろう」とした。(編集NA)

「人民網日本語版」2026年7月31日

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