四川省の西昌衛星発射センターで5日午後7時45分、長征3号ロケットが北斗衛星2基の打ち上げに成功した。この2基は円軌道衛星で、北斗3号グローバルネットワーク衛星の1・2号機だ。これが軌道に乗ったことで、北斗衛星測位システムのグローバルネットワークの構築が始まった。人民日報が伝えた。
◆応用に進展
測位精度が2-3倍に向上、民間ユーザーに誤差10メートル内の無料測位サービスを提供
同2基は試験とネットワーク投入検証を終えた後で、対外的にサービスを提供できるようになる。グローバルネットワーク構築の初期段階に、北斗システムは真の世界衛星測位システムに近づき、北斗システムのグローバルなサービス展開を加速させる。
北斗3号の建設は、中国の北斗システム「3ステップ」発展戦力の3歩目となる。北斗2号と比べ、北斗3号は衛星ネットワークが地域から世界に進出し、技術もより先進的で、建設もより大規模で、系統性が高い。北斗3号衛星はより高性能な相互操作信号を追加し、基本的な測位サービス能力を高めた上で、国際標準に基づき衛星強化サービスと捜索・救助サービスを提供する。北斗3号は水素原子時計を搭載しており、その精度は北斗2号のルビジウム原子時計より一桁優れている。
また北斗3号グローバル測位システムの精度は2-3倍向上し、誤差2.5-5メートルの水準に達する。構築後の同システムは民間ユーザーに誤差約10メートルの測位サービス、0.2メートル毎秒の速度測定サービスを提供し、有料ユーザーにより高精度なサービスを提供する。また衛星の設計上の耐用年数は10年以上。北斗地上強化システムが初歩的サービスを提供することに伴い、メートル級、準メートル級、デシメートル級、さらにはセンチメートル級のサービスを提供する。これにより北斗システムの精度は、米国のGPSと肩を並べることになる。
中国の北斗には独自性がある。中国航天科技集団第五研究院北斗3号プロジェクト副チーフデザイナー、衛星首席チーフデザイナーの謝軍氏によると、北斗3号の開発者は域外衛星のデータ伝送ルートを解決するため、衛星間リンク技術の難関を突破した。地球の裏側にある北斗衛星が見えなくても、衛星間リンクにより連絡を実現する。これは北斗グローバル測位システムの建設の大きな特長だ。
また北斗3号は北斗2号のショートメール機能を留め、関連機能を強化する。軌道上を飛行中の北斗測位衛星は、円軌道、地球静止軌道、対地同期傾斜軌道上にある。円軌道衛星は全世界を回ることのできる、GPSなどの測位システムが使用している共通軌道だ。地球静止軌道は通常、通信衛星に用いられる。同軌道を飛行する北斗衛星は通信機能を発揮し、ショートメールなど特色ある機能を持つことができる。ショートメールと測位を結びつけている点が、中国の北斗測位システムの大きな特長だ。
中国は今回の任務より、北斗ネットワーク衛星の高密度打ち上げの段階を迎える。計画によると、2018年までに北斗3号グローバルネットワーク衛星18基を打ち上げ、「一帯一路」(the Belt and Road)関連国をカバーする。2020年頃までには30基以上を打ち上げ、グローバルサービス能力を実現する。
◆未来の新展開
「北斗地上強化ネットワーク+高精度測位サービスネットワーク+ブロードバンドモバイルネットワーク」を実現へ
専門家は、「北斗3号グローバルネットワークの構築の加速、最終的な構築完了に伴い、より多くの国とユーザーが北斗システムを使用するようになる。北斗応用の普及と産業化をけん引し、北斗の海外・世界進出を促す」と予想した。
情報によると、現在の北斗測位チップモジュールの販売量は3000万個を突破しており、高精度ボードとアンテナの販売量は国内市場でそれぞれ30%と90%のシェアを占めている。かつ一帯一路関連の30数ヶ国・地域を含む、70数ヶ国・地域に輸出されている。スマートフォンやその他の消費財に使用されている国産チップもしくはIPコアの数は約2200万個にのぼる。
北斗高精度サービスについては、国家北斗地上強化システムをベースとする大衆向けの、手に取って触り需要に基づき用いることができる、公共サービスの開発と提供が進められている。
北斗の高精度により、携帯電話の測位の誤差は1メートルまで縮小される。特に衛星の電波が届きにくく、短時間内に完全に遮断される場合(高架橋の下、トンネル内、車庫内など)、携帯端末は高精度測位ソリューションプランの強化測位サービスにより測位を実現する。
シェア自転車への応用に関しては、北斗高精度測位が誤差を1メートルまで縮めるため、自転車を見つけやすくなる。また北斗高精度は電子柵を提供する。センチメートル級の測位により数を測定し、高精度測位機能が搭載されているシェア自転車が規定エリア内に駐輪されているかを判断する。規範的な駐輪を促し、都市管理コストを引き下げる。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年11月7日
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