中国でドラマ「延禧攻略(Story of Yanxi Palace)」が大ヒットとなるにつれ、美しく素晴らしい中国の伝統工芸への注目も高まっている。「延禧攻略」には、絨花、緙絲、手推繡、珠繡、盤金繡、点翠などの中国の無形文化遺産が登場する。あるファンは、「このドラマは『刺繍のドキュメンタリー』のようだ」との声を寄せる。このように、同ドラマの出演者が着ている衣装に施された刺繍が話題になっており、製作チームが公開した刺繍をテーマにしたポスターも人気となっている。
同ドラマで使われている衣装は全て手作業で刺繍が施されているという。衣装デザイナーの宋暁涛氏は、「今回は『再現』をメインにしている。清朝宮廷は、『京繍』がメインであるため、今回使われている多くの京繍は全部手作業で施されている。本当は清の第6代皇帝・乾隆帝の時代の服は非常に地味だった。しかし、ドラマでそれを完全再現すると、見栄えがしない。視聴者が毎週地味な衣装ばかり見ていると、見飽きてしまうだろう。そのため、さっぱりと気品があるという史実を大前提に、芸術加工を施した。『打籽繍』、『盤金繍』、『盤縄繍』、『珠繍』、『圈金』などの工芸を活用したかった」と説明する。コントラストを避け、上品で高級感のあるグレーを基調にした衣装は、ビジュアル的にも視聴者を魅了している。
絨花は、清の康熙帝や乾隆帝の時代に人気があった。本当の花のように美しく、見飽きることがないほか、絨花の中国語の発音は『栄華』と同じで、縁起もいい。「延禧攻略」では、秦嵐が演じる富察皇后の頭につけている絨花は、南京の絨花職人・趙樹憲さんの作品だ。絨花は、南京を代表する地方の伝統手工芸で、全てが手作業で製作されている。その特殊な表現手法は、今でも機械で生産することはできない。無形文化遺産である絨花の製作技術を受け継ぐ趙さんは、「約10センチの絨花を作るのに2-3日かかる。『延禧攻略』の製作グループからは頭飾りに使う絨花19個の注文を受けた。私と見習いたちで約1ヶ月かけて作った」と説明する。
ドラマで使われている扇子にもこだわりがある。女優の宋春麗が演じる皇太后が使っている扇子は、清の時代の「沙面貼絹仙鶴桃樹図団扇」を参考にし、高貴妃が使っている扇子は、清の時代の「紅色緙絲烏木雕花柄団扇」を参考にしているという。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年8月3日
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