新型コロナウイルス対策、米国は本当に準備ができているのか?

人民網日本語版 2020年02月28日11:42
新型コロナウイルス対策、米国は本当に準備ができているのか?

米上院は25日、国土安全保障省の2021会計年度予算について公聴会を開いた。共和党のジョン・ケネディ上院議員が新型コロナウイルス感染症の状況について立て続けに質問したが、チャド・ウルフ国土安全保障長官代行は何も知らず、言葉を濁した。

ケネディ氏が「米国には現在新型コロナウイルスの感染者がどれほどいるのか、どれほど増加すると予測されるか」と質問すると、ウルフ氏は「数は増加すると予測されるが、具体的数字がどれほどかは知らない」と答弁。「呼吸器の数は足りるか」「マスクは足りるか」などの質問にも、明確に答えられなかった。

公聴会でのウルフ氏の答弁は直ちに多くのネットユーザーとメディアの不評を買った。米紙ワシントン・ポストは「ケネディ氏の質問が公平か否かに関わらず、ウルフ氏の答えは、彼が現在の状況を十分に理解していないことを物語っている」「これは良い兆しではない」とした。

米疾病予防管理センター(CDC)は、米国での感染拡大は「時間の問題に過ぎない」と警告したうえ、冷静に受け止めて防疫の準備を整えるよう米国民に呼び掛けた。CDCは公式ウェブサイトに掲載した声明で「新型コロナウイルス感染症の流行は米国民の日常生活に重大な影響を与える」と指摘。感染症の予防への準備を整え始めるよう企業、病院、コミュニティー、市民に呼び掛けた。

米国の専門機関は再三警告を発しているが、トランプ大統領は様々な場で感染症に対して楽観的な姿勢を度々表明している。

ホワイトハウスの新型コロナウイルス感染症の扱いに市民とメディアの批判の声が高まると、トランプ大統領とCDC高官は26日夜に記者会見に出席。トランプ大統領はペンス副大統領を新型コロナウイルス対策の総責任者に任命するとともに、「ワクチンは非常に順調に進んでいる。米国人が新型コロナウイルスに感染する危険性は非常に低い」としたうえ、「我々は本当に準備は整っている」と補足した。

これに対して、米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長はその後の記者会見で反論し、「ワクチンは急いで開発中だが、本格的な使用開始には少なくともまだ一年から一年半かかる」と述べた。

実際には、米政府は新型コロナウイルス対策でさんざん非難され続けてきた。米CNBCの報道によると、上院野党トップでニューヨーク州選出のチャック・シューマー上院議員(民主党)はトランプ政権の打ち出した25億ドルという新型コロナウイルス対策予算を「少なすぎて、遅すぎる」と批判したうえ、26日に85億ドルの新型コロナウイルス対策を提案した。

また、米国はマスク不足に陥りつつあるようだ。ニューヨーク・ポストの報道によると、アレックス・アザー米保健福祉長官は議会公聴会で、「米国のマスク備蓄は十分か」との質問に、「現在戦略備蓄はN95マスク3000万枚しかないが、医療従事者のマスク需要は3億枚であり、2億7000万枚不足している」と答弁したうえ、「これは世界規模のかつてない深刻な健康への試練だ」とした。

「新型コロナウイルス感染症を前に、米政府、特に連邦の官僚機関は本当に準備が整っているのか」との問いを禁じ得ない。(編集NA)

「人民網日本語版」2020年2月28日

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