ここしばらくの間というもの、新型コロナウイルス感染症に関する虚偽情報や、感染症を政治利用したり、他国に汚名を着せる言論が飛び交って、感染症との闘いにおける国際協力の努力を深刻に阻害している。各国の専門家、学者、研究機関は新型コロナウイルスの発生源に関する陰謀論を暴き続け、新型コロナ対策において科学を尊重し、団結し、ウイルスの発生源の問題を政治利用せず、他国に汚名を着せないよう呼びかけている。
米EcoHealth Allianceの会長でウイルス専門家のPeter Daszak氏はこのほど「新型コロナウイルスは自然に発生したものではなく、人為的に製造された」との言論に文章で反論した。Daszak氏は、すでに有名なウイルス学者たちが「ネイチャー メディシン」誌で、「ウイルスの遺伝子は人為的に操作された」との主張に強く反論したことを指摘。ウイルスの発生源を探る際には科学的で厳格、理性的で責任ある姿勢を堅持しなければならないとした。
米ニュースサイトは、オーストラリアの研究者が先日発表した報告を報じた。報告によると、3月下旬にSNS上に投稿された新型コロナ関連の260万件余りの情報、及び10日以内の延べ2550万件余りの転載を分析した結果、5000余りのアカウントが協同し一致した方法で7000回近く転載していたうえ、その多くが虚偽情報やデマであったことを発見した。このデマを転載したアカウントの多くが遠隔操作された「botアカウント」であり、政治派閥と関係する団体やその周囲の勢力に利用されていた。報告の共同作者の1人は「虚偽情報や陰謀論の拡散は、国際社会が共同で感染症に対処するうえでマイナスであり、国際関係と公衆の健康にもマイナスだ。国際社会はSNSをより良く管理・監督し、しかるべき責任を尽くすよう確保すべきだ」とした。
英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の教授は「人々は厳格な科学的姿勢を堅持して新型コロナウイルスを全面的に知る必要がある。感染対策において責任感を持つ必要がある。ウイルスにレッテルを貼ったり、ウイルスを政治的に利用することは感染症に打ち勝つうえで何の助けにもならず、何の建設的役割も果たさない」とした。
米アイオワ大学で微生物学と免疫学を研究するスタンリー・パールマン教授は「ウイルスの発生源の問題を政治利用するのは非常に不幸なことだ。ウイルスの発生源を探るのは科学の問題であり、科学者と医学の専門家が研究を行い、事実と証拠に基づいて科学的な結論を得る必要がある。各国は感染症をめぐるスティグマタイゼーションと政治利用に断固反対すべきだ」とした。
国連は「『誤情報のパンデミック』に対抗する5つの方法」で、全世界が団結してパンデミックと闘ううえで、信頼できない情報が妨げになっていると指摘した。また、「事実確認」行動イニシアティブを打ち出した。これは信頼できる正確な情報の数とカバー領域を増やすことで、日増しに深刻化する新型コロナウイルスをめぐる誤った情報の拡散を抑制し、正確な情報が伝わる後押しをするとともに、SNSと協力して、新型コロナウイルス関連のヘイトスピーチや有害な言論を取り除くためだ。
国連開発計画(UNDP)は先日、新型コロナウイルス関連の虚偽情報、扇動的情報、ミスリーディングな情報が日増しに氾濫し、感染症の社会的影響を大きくしており、各国政府と国際社会は連携して誤った情報とスティグマタイゼーションを阻止しなければならないと指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年6月15日