米政府が全ての中国共産党員とその家族の渡米禁止を検討しているとするニューヨーク・タイムズ紙の報道は、たちまち世論に火をつけた。この構想はあまりにも理不尽で信じ難いとしか言えない。ワシントンでこの考えを最初に打ち出したのは一体誰なのだろうか?そして彼らは中国共産党を、さらには中国社会を理解しているのだろうか?そんな彼らのためにここでは中国共産党について語ってみようと思う。(文:胡錫進・環球時報編集長)
まず最初に、中国共産党が抱える党員は9300万人に達するということはなにを意味しているのだろうか。その規模は欧米人には想像し難く、そして9300万というのは単なる数字に止まらない。その数はドイツの総人口よりもさらに多く、米国が制裁対象としている中国共産党員9300万人にその家族も含む場合、その配偶者、子供、両親を加えただけでも少なくとも3億人となり、これは米国の総人口に相当することになる。さらに義理の両親、兄弟姉妹、そしてその家族も加えた場合、中国人のおよそ半数に達する。中国共産党員はその親族関係だけで中国社会の半分と結びつくことになるのだ。視点を変えて見ると、親戚や友人に中国共産党員がいない中国人は極少数ということになる。従って中国共産党員は西側の政治学の語彙では描写することが不可能なほど国家や国民と深く融合していると言える。
では中国共産党員とはどのような人々なのだろうか。中国共産党は長期にわたり政権を握ってきた。従って中国各地・各当局の主要幹部は大部分が中国共産党員だ。だが上層部の党員・幹部は中国共産党員のごく一部に過ぎず、圧倒的多数の党員は末端組織で生活や仕事をし、普通の民衆の中に身を置いている庶民たちだ。
中国共産党は西側のような政治生態下の政党ではない。中国共産党は西側のような政党と規模、趣旨、運営制度、及びその果たす役割の各面においていずれも質的な違いのある、性質の完全に異なる政党だ。「中国共産党」に対応するのは英語の「party」には全く当てはまらず、中国共産党は絶えず自らを発展させ、再成形しているため、真に対応する概念は英語にはないと言えるだろう。
大部分の中国共産党員は若い頃に入党する。入党する人々は通常理想を抱いており、取り組みの中で優れた業績を挙げると同時に、集団主義精神に富み、熱意があり、周囲からの評判も優れている。そしてより困難な取り組みを進んで引き受け、他の人々よりも多くの努力を払う。これは共産党員の義務だ。災害など差し迫って困難な状況に遭遇した時、共産党員は最前線で立ち向かわねばならない。これは党員間と社会における共通の認識であり要求でもある。新型コロナウイルスの感染拡大時、「共産党員がまず最初に行く」というスローガンが感染症との闘いの最前線において再び共通のスローガンとなったし、実際の状況も確かにそうだった。不幸にも感染して命を失った李文亮さんを含め、多くの医療従事者はいずれも中国共産党員だった。
9300万人の党員を擁する巨大な中国共産党は、確かに複雑な一面も抱えている。中国共産党の各級幹部集団からは腐敗した人々も少数出た。この事は、腐敗と闘い、クリーンな政治を推進する全党の断固たる行動につながった。正に中国共産党は第18回党大会以降の成果著しい腐敗対策によって人民から一層の支持と信頼を得たのであり、これは米国の反中勢力が大いに落胆した理由でもある。中国共産党は全国の人民と共に、中華民族の命運を徹底的に変えるために奮闘してきた。中国共産党は人民を指導してきたのと同時に、人民の間に完全に融け込んでおり、この根本的性質は決して変わらない。
中国共産党を中国及び中国国民と切り離したうえで、「ターゲットを絞って打撃を与える」ことを主張する。これは米国の少数の政権エリートの幻想であり誑かしだ。これはまるで、誰かの心臓と神経系は傷つけるが、その体全体には優しくすると主張するかのように偽善的だといえる。
米国の現政権は今や公然と中国共産党を敵としている。これは両国間及び両国民間に深い憎しみの種を蒔き、双方間の闘争をもはや利益の争いではなく、根本的な対立へと変えるものだ。中米両国は現在の世界における最大の総合パワーで、いずれも核大国であり、極めて高い戦略動員力を備えている。米国の現政権は繰り返し緊張をつくり出すことで、両国を全面的な戦略衝突へ仕向けようとしているのだろうか?彼らは最終的に世界から平和と安寧を葬り去りたいのだろうか?
米国は新型コロナウイルスの感染拡大が深刻であり、すでに世界で最も感染の深刻な国となっている。今後長期間にわたり好転することは困難だろう。実際には少なくともここ1~2年、特殊なケースを除いて、渡米を望む中国人は少なくなっている。米メディアの報道した、中国共産党員に対して準備中の制裁は、相当長期間において全く意味をなさないだろう。憤りを覚えるのは、ここしばらくの間の中国共産党を公然と攻撃する米側の無節操な政策が、大国間外交の守るべき一線と21世紀の国際関係の基本準則を破っていることだ。このように公然と世界を冷戦へと押しやるのは人道に対する罪であるということを指摘しておかなければならない。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年7月20日